マガジンのカバー画像

81
運営しているクリエイター

#雨

【詩】夜明けの雨

【詩】夜明けの雨

砂になれたら何処へでも
風の吹くまま飛んでゆく
着いた土地でまた風を待つ
砂になれたら
こんなにも悲しまなくて済むのに
いつまでも
いつまでも
風に吹かれるのを待っている

砂になれたら悲しみも
小さくなるような気がして
けれど私は大きな岩で
この土地にしか居られない
砂になるには早すぎる
いつか忘れられるさと雨が叩く
こんなにも
こんなにも
冷たい雨が心に痛い

慈雨

きらめき体を濡らす雨に
私は何を委ねよう
一歩二歩の歩みの先に
私は何を見るだろう

金色の雲に見とれても
明日にはもう忘れてしまう
空を照らす海に飛び込めば
何かを掴めるだろうか

葉の囁きは私を誘う
ありもしない幻想に
赤ん坊が泣いている
何も知らなかったあの頃に
戻りたいと想うのは間違いだろうか

死の淵を越えて舞い降りる
それまで決して死なないで
全ては神の紙芝居