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2018年7月の記事一覧

花園

香しい広大無辺の花園はいつもあたたかかった
水は大地を潤し
光は花びらの朝露を輝かせ
鳥たちは美しく歌っていた
紺碧の空には心地よい雲が浮かび
誰もがその地にあこがれた

しかし久しい時を経て
誰も近寄らなくなった
だから花園はだんだん遠くへ行った
必要とされない悲しみに
終には見えなくなった

その花園は今もどこかにあるという
探求者は探す
やわらかな空の下で寝転がりたいと

灯台の下

ごらんよ、灯台の下では
明日をも知れない人々が
目を凝らし生きている
光を探しながら

灯台の下は何も見えないから
生きるだけで精一杯で
夢なんか見ている暇もない

見つめているものは
頭上の灯台のあかり
照らしておくれよ
少しくらい光を分けてください

人が見ているものは
飛んでいるカモメばかり
翼の折れたカモメは
見なかったことにしてるんじゃないのか

灯台の下では今日も
誰かが死んでいる

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きらめき

風がそよいだ
ヒペリカムがゆらいだ
君がきらめいた