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お金を払ってでも解決したい課題が本当の課題

あなたが何かしらのシステムを会社に売る場合のことを考えてみましょう。
あなたの会社が使う業務システムを導入することによって、
対象業務が自動化、効率化されることにより、ヒトの作業が削減され、
導入企業は従来よりも人を削減し、品質も一定程度向上させることができる可能性が高いとします。

<大前提はお金をかけてでも解決した課題があり、実際に解決に繋がること>

まず、大前提として抑えなければならないのは、
あなたの会社のシステムを活用することで、「本当に」顧客企業の課題が解決されるのか、の点です。
簡単にいうと、どんな課題を解決するのか、なぜシステムを入れる必要があるのか、を明らかにします。
解決すべき課題がある、というのは当たり前の話に聞こえますが、
企業の決裁権者の本気度を測るのは適切に見極めする必要があり、
ちょっと解決できたらいいなぁ~、程度のレベルだと、後からそもそも課題が消失する(というか実は課題ではなかったのですが)可能性が高まり、
非常にリスクの高い状況になります。課題ではなく、願望に過ぎなかった、というのはよくある話です。
常に、その課題はコストをかけ、投資を行ってでも解決したい課題なのか、
課題を放置した場合に、その課題が未来に対してどのようなインパクトがあるのか、認識を共有して合意をしてから解決方針について議論を始めます。

プレゼンを行った後に反応を伺ってみると、
具体的な質問が出てこなかったり、いいんだけどねぇ~、みたいな反応しか返ってこない場合については、
ソリューションそのものへの信頼や効果に対する疑念とは別に、そもそも課題がない、というシーンである可能性も高く、
ここを今一度見直してみるといいでしょう。
「いいね」と「購入」には厳然たる壁が立ちはだかっており、
相手を実際目の前にしてネガティブ評価を行うにも抵抗がありますし、
実際にポジティブに評価しても買うかと言われたら、それは話が別ですね。
今度ご飯に行きましょう、といつも会話するのに、いっこうに日時が具体的にならないパターンのようです。何となくいい感じがして、実際に行きたくないわけではないんだけど、かと言って時間と金を使って積極的に自分からセッティングするまでもないということですね。
この課題の合意プロセスを深化させるために、質問技術を駆使したり、SPINの活用といった手法を講じるわけですが、
この辺りの話については、改めてテーマと致します。

<ソリューション導入の実現性についての罠>

企業の課題が人の削減によるコスト削減を通じた経営改善であれば、
計算上のコスト削減ではなく、本当に人を削減できるかを考える必要があります。
よくあるケースが、計算上確かに人間の工数が削減、不要となるのですが、
実際には、これまでその業務を担当していたスタッフはクビにはならず(できず)に、
他の業務に回す、あるいはそのままその部門にとどまり続けるというケースです。
このことがわかっている場合は、提案についてポジティブな評価がなされたとしても、
実際のところ導入に至るハードルはかなり高いといえるでしょう。

私の経験では、あるオペレーションとシステムを組み合わせて、
業務効率化を通じて、現在と比較してスタッフ数を約半分にできるという提案をした際、
かなりプラスの評価が返ってきたのですが、実際にシステムが導入されることはありませんでした。
さてなぜでしょう。

その会社はある会社のグループ会社で、
確かにスタッフ数を削減することができるのですが、
それが実現されると、今まで業務を担当したスタッフの仕事がなくなってしまい、
とはいえ、簡単にはクビにすることもできず、実際のところコスト削減に繋がらないとうことが明らかになった、(これまでは敢えて真剣に考えてなかった)
ということでした。
その親会社にも話をもっていき相談したのですが、そのグループ会社は、
親会社で行き場所がなくなったスタッフの勤務先確保という側面もあり、結局、話が前に進むことはなかったのです。
明らかに効率改善でき、経営改善に繋がるにも関わらず、
こういった理由により受注に至らないというケースは決して、珍しいことではありません。

計算上の効果だけではなく、
その効果の実現可能性についてシビアに精緻化を行うプロセスを、
なるべく商談の開始段階において、本当に課題を解決したい方とよく詰めておく必要があります。
大規模な案件になればなるほど、提案期間も長くなる傾向があり、後続工程での失注は自分に限らず自社全体へのダメージが大きく、
実現困難なものについては、早めの段階でストップをかける必要があります。
別途ご紹介をしていく予定ですが、このストップをかけるのは、Sales個人としてはとても難しく、
案件の規模や確度に応じて、時にストップをかけるのがセールスマネージャーの役割となります。

本日は、決裁者にとって解決すべき真の課題が存在すること、
そしてソリューション活用によって、ソリューションによってもたらされる効果以外に、
実現性を妨げるような要因があるか、あるならどのようなケースか、
を見極めることの重要さについてでした。

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