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中国スマートオフィス事情

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中国スマートオフィス事情
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みなさま、こんにちは!
IngDan Japanの山田です。

前回は中国のニューリテール事情についてご紹介をさせていただきました。第5号となる今回は、中国におけるスマートオフィスについてご紹介したいと思います。

スマートオフィスとは、スマートシティを小規模化し、その職場で働く人たちに対して快適性や利便性を提供することで、業務における生産性を高めることが目的とされています。日本においては、なかなか馴染みのない言葉ですが、中国での実例についてご紹介したいと思います。

現在の情勢の中、スマートオフィスと聞いて皆様はどうお感じになりますか?コロナによる感染リスク・拡大を避ける為に、リモートワークを継続されている方も多いのではないかと思います。リモートワークといっても、旅行先で仕事を行うワーケーション、少し以前はカフェで仕事するノマドワーカーなる言葉もよく使われていましたね。従来のオフィスに出勤して仕事をする、という当然だった価値観が薄らぎ、どこでも仕事ができる環境を整え、業務の成果に繋がるのであればどこで働くかは問わない、という合理的な考え方だと思います。感染予防をきかっけにして普及が広まったリモートワーク(実際は在宅)ですが、本来は柔軟な働き方の選択を可能とし、業務の生産性や品質にも良い影響を与えることを目指したものであるはずです。現在は上記の通りですが、今後、コロナ環境が収まった後にどのような働き方が当然となるのか、にも思いを馳せながら、理想的なオフィス環境についてみなさんで考えてみたいと思います。きっと、オフィス、在宅、又はその他の場所に関わらず、最高の働く環境を提供してくれる仕組みを提供してくれるもの、それがスマートオフィスの目指すものになっていくのではないでしょうか。

少し話が反れましたが、中国のスマートオフィスの話に戻りたいと思います。中国でも近年導入が進んでおり、産業パークやキャンパス等、特定エリア内における生活向上、効率化に焦点をあて、顔認証、センサー、各種デバイスから取得されるデータを活用し、一体運用が行われています。
それでは、今日のメインコンテンツにいってみましょう!


~ 目次 ~
【オフィス生活がどんどん便利に】
【オフィスセキュリティ統合管理】
【コロナ禍での感染防止ソリューション】

~ メインコンテンツ ~
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オフィス生活がどんどん便利に
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まずは、オフィス生活の利便性を高める事例をご紹介致します。私たちは、仕事をするために毎日オフィスへ出勤するわけですが、何に時間を使っているのか改めて振り返ってみれば、仕事そのものではなく、休日と同じように移動したり、食べたり、といった生活をしています。当たり前のようにやっている行為であったとしても、1つ1つの行動を見れば、それなりの段取りや作業が必要であり、これらを効率化することによって、本来の業務にも良い影響がもたらされるかもしれません。

詳細は、以下の動画をご覧いただくのがわかりやすいかと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Ysel7dZKbW4&t=150s
以下の通り、動画内容ついて確認してみましょう。

朝、通勤時には、画像認識技術により、車のナンバーを識別し、駐車場のゲートが自動的に開きます。そして、オフィスエリアへ入る際は、顔認証技術により誰がいつ、出勤したのか、また退勤したのかが、勤怠管理システムと連動し把握されます。さらに、エレベータ、オフィス執務エリアへ入室時にも、顔認証が使われ、スタッフにより利用可能エリアがコントロールされます。最近の顔認証では、個人情報保護のためにアルゴリズムのみを現場のサーバーに移植し、顔情報を外部に出さないような工夫もされています。

会議室申請や、来訪者登録については、スマートフォンアプリから操作を行い、来訪者や関連メンバーに情報が通知されます。事前に登録された情報により、来訪者がオフィスへ来訪した際は、顔認証により来訪者確認が完了。
また、食事予約、社員寮予約、社用車予約、通勤バス予約といった生活に必要な作業が全てスマートフォンから行え、当然ながら必要な決済も全て完了できます。これらの作業が全て、同じアプリから作業可能で、統一された仕組みとなっています。

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オフィスセキュリティ統合管理
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次に、オフィスセキュリティ向上の為の仕組み、事例についてご紹介致します。日本のオフィスでは通常、ビルに勤務するスタッフはセキュリティカードを与えられ、それぞれに与えられた権限に基づき、入ることのできる部屋、スペースが割り当てられているケースが多いかと思います。しかしながら、こういった場合は、部屋に入室する都度、カードを読み取り機にかざす必要があり少し煩わしいと感じることがありますし、また、カード自体を紛失したり、持参するのを忘れて部屋に入れず、総務部門に依頼をしてカードを再発行してもらう、といった手間がかかることもあります。(総務部門スタッフが在宅勤務なら、それもできない!?)また、紛失等により、カードが第三者に渡ってしまうことで、本来は入室できない人物が中に入ってしまうリスクも存在します。

こういった課題を解決する為に提供されている仕組みとして、以下の動画をご覧いただければと存じます。
https://www.youtube.com/watch?v=m_yIQyGlgGM&t=1s

ビル入口、エレベーター、入館ゲート、会議室等のあらゆる場所において、顔認証が使われています。未登録者やブロックリストに登録された人物は、侵入できないようドアを制御したり、不正な侵入を検知することも可能です。特定エリアに対しての検知や、特定の対象物(モノ)に対しての動きを検知することで、セキュリティレベルを高めています。また、これら全ての情報を統合された管理プラットフォームによって確認することができます。

加えて、指紋認証や手のひらの静脈認証も組み合わせることで、車両、来訪者、エレベーター、侵入検知やアラート含めた警備関連の情報を一元管理することができます。遠隔でのコントロールを効率的に行うことができるよう、モバイルプラットフォームも提供されています。
https://www.youtube.com/watch?v=YqYq-lYVOEc

このように、複数技術の組み合わせと、統合管理プラットフォームにより、利用者、管理者双方にとって、便利かつ効率的な仕組みが運用されていることがおわかりいただけるかと思います。

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コロナ禍での感染防止ソリューション
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最後に、コロナ禍の状況の中で普及が進むソリューションについてご紹介致します。
オフィス環境の快適性に加えて、安全性を高める為には感染リスクをいかに低減するかの観点が欠かせない情勢となっています。デパート等の大型店舗、ホテル等ではスタッフによる検温が実施されるケースが増えていますが、企業から見れば新たなオペレーションが必要となることで追加負担が発生しますし、実際に作業するスタッフの視点からすれば、そのこと自体が感染リスクを増やす行為となってしまいます。また、施設利用者の視点で見ても都度検温が必要となる為に、あまり良い体験とは言えません。
そこで登場したのが、非接触で検温ができるソリューションです。

https://www.youtube.com/watch?v=KL_thyMTPLE
詳しくは、上記動画をご覧いただければと思いますが、検温機能を備えたディスプレイの前に立つことで、0.1秒と非常に短い時間で顔表面から体温測定することができます。ゲートと連動させることで、一定の温度を超える来訪者については、ゲートが開かないようにしたり、同時にマスクの着用を検知し、非着用の方に対してはアラートを出すといった運用がなされています。また、オプションとして金属検知を行うケースもあります。

さらに、画像撮影時に予め登録した画像と照合を行い、顔認証による個人認証や静脈による認証を行うことで、誰がいつ、体温が何度だったのかを記録し、体調管理として使われるケース、勤怠管理データとして活用されるケースもあります。検温スタンドで取得したデータは既にご紹介したオフィスの統合管理のプラットフォームと連携し、併せて管理することが可能です。

こういった仕組みを活用することで、スタッフ、来訪者双方の感染リスクの低減に加え、検温作業に関する効率改善、データ蓄積により、オフィス環境のモニタリング、感染が発生した場合の経路解析にも活用されています。
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中国におけるスマートオフィスの特長とは?
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ご紹介した事例は一部となりますが、その他にも、IoTセンサーにより室温を検知、基準に沿って空調稼働を調整することで快適な室内環境を提供すると同時に省エネを実現したり、同様にIoTセンサーにより、ビル内部の人の動きを検知することで、混雑緩和や清掃時の動線設計を行う、働く人の状況によって照明の明るさを変える等、といった幅広い事例があります。それでは、中国におけるスマートオフィスの特長を整理してみましょう。

まず、初めにデータが存在し、そこから全体デザインが進められている点です。スマートシティと同じ考え方となりますが、技術の活用が目的ではなく、オフィスで過ごす人たちにとっての課題を明確化し、その課題を解決するための手段としてソリューションとしてのスマートオフィスが考案されています。カメラやセンサーといった機器が先にあり、それらから取得したデータを統合する、ということではなく、まずオフィスでの行動様式に基づき、どのような課題があるのか、それらをどう解決し働く人に利便性を提供するのか、を考えます。どのようにデータを蓄積、活用するのか、といったデータの設計から始まり、末端の機器はデータを取得する入り口という位置づけです。顔認証をあらゆる箇所への認証に活用したり、スマートフォンを使ってどこからでも管理できるプラットフォームの構築等、ユーザーにとっての利便性に配慮された構想・デザインとなっています。

さらに、各センサーから取得したデータの活用です。例えば、カメラから取得した施設内の人数データ、天気情報、各種設備の稼働状況のデータの解析によって、時間ごとに必要となる空調設備の稼働量を予測して、運用時の参考とする。さらに予測結果と現実に起こったデータを照合させることによる機械学習を用いて、予測精度を向上させる取り組みも行われています。エレベータ内のセンサーにより故障予測、トイレ内からのセンサーから適切な掃除のタイミングを指示、清掃スケジュールの作成までを自動化する等の事例もあります。

いかがでしょうか。今回は中国のスマートオフィス事情、特徴についてご紹介いたしました。
次回は、中国のVR/AR(バーチャルリアリティ及び拡張現実)ソリューションについての事例紹介を予定しています。医療やリテール、教育等にわたって幅広い推進が行われています。VR/ARの活用により、人々の暮らしにどのような影響が出ているのか。政府も推進をサポートするVR/ARによってどんな変化が起こっているのか、をご紹介致します。次回もお楽しみに。

今回の内容についてのご質問、お問合せにつきましては、以下までご連絡ください。
ingdan@infodeliver.com


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編集後記
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ただ働く場所だと思っていたオフィスですが、コロナ禍が継続する中、改めてオフィスとは何なのか、何の為に存在し、これからどのような位置づけにしていくのか。そのようなことを考えることも多くなっているのではないでしょうか。
せっかく通信技術とIoT技術、ビッグデータ等の要素技術が揃い、データの活用によってこれまでにはできなかったことができるようになった現在において、オフィスは単なる働く場所ということではなく、コロナの情勢もきっかけとなって、再定義をすべき局面にあるのではないでしょうか。

毎日は出社するわけではないけれども、イベントや定期的な会合を行うことで面と向かって語らい、企業カルチャーを創造、醸成する場所としてのオフィス。ショールームや動画制作スタジオとして従来にはなかった役割としてのオフィス活用。
在宅ワークであれば通勤時間が必要なくなり、時間効率の面では合理的に出社する必要はない、とも思われるオフィスですから、わざわざ出社する為には在宅勤務を上回るメリット、意味が求められる時代となりました。従来と比較して、三密対策等の感染防止措置が必要となったオフィス。オフィスとはいったい何なのか。こういったことも考えた上で、オフィスの意義を検討し、有効に活用することが必要な時代となりました。今はみなさんがそれぞれ適切なオフィスの在り方について模索、試行錯誤しながら、それぞれに沿ったオフィスを作り上げていこうとしている真っただ中にいるのだと思います。

さて、弊社でも理想的なオフィスの在り方を模索しているところですが、文章の中でご紹介したデータ管理含めた検温ソリューションや、スマートオフィス環境を構築するソリューションのご提供等、皆様のご状況に合わせて何かご支援ができればと考えております。
現在のオフィスのスマート化を図りたい、感染リスク防止の為に非接触で検温できる仕組みを探している、顔認証やカメラを活用してスマートオフィスを構築するにはどうすればいいか知りたい、こういった思いをお持ちの企業様に向けてIngDan Japanは価値をご提供できる可能性があります。ぜひ、IngDan Japanにお問合せいただき、一緒に何ができるのか、会話させていただければと考えています。

次回は、中国のVR/AR(バーチャルリアリティ及び拡張現実)ソリューションについての事例紹介を予定しています。
移動、特に海外への出張が困難な状況だからこそ、IngDan Japanでは、まずは動画やオンラインの手段を使って中国の情報をお届けできればと考えています。ぜひ、役立てることがあればお声がけをいただければと思います。
ではまた次回、お会いいたしましょう。


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