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案件確度、受注タイミングをコントロールするコンペリングイベント

こんにちは、今日のテーマは「コンペリングイベント」です。
普通であれば、法人Salesの中であまり聞くことはないかもしれない言葉ですが、
外資系企業のフォーキャストミーティングで、マネージャー等から詰められるときに、「コンペリングイベントは何?」と
案件の状況認識を確認される際、聞かれることがあるでしょう。

<コンペリングイベントとは?>

お客さんが何かしらの提案を受け入れて、発注を依頼する為には、
当然ながら、解決した課題が存在する必要があります。
課題解決の為のために懸命に提案するわけですらから当然ですね。
しかしながら、見落としがちな観点は、相手はいつ解決する必要があるのか?の視点です。
価値が明確ですぐにでも施策を打つ必要のある切迫さが明らかでなければ、
つまり、明確な期限がない案件であれば、案件フォーキャストでも受注時期を見積は困難となります。

解決するべき課題は、Painですが、いつ解決するべきか?を決める事情、差し迫った状況に当たる事柄がコンペリングイベントです。これは、MEDDICには含まれませんが、重要なポイントです。
コンペリングイベントが明確でなく、押さえられていない案件の場合は、
優先順位が高くなく、受注時期をスリップしてしまったり、
相手企業の状況変化によって(例えば部署異動等)、失注になるリスクがありますね。相手企業は、すぐに、又は明確な期限を決めてまで意思決定をする必要がないですので。

コンペリングイベントを相手と共有できていることで、
優秀なSalesは、提案プロセス、スケジュールのコントロール、相手組織のことを聞き出したり等、案件をドライブしていく為に活用することができます。フェーズとしては、相手のPainを確認し、提案に関心を持ったことがわかった段階で、早めに確認していくことがセオリーです。
コンペリングイベントがあるからこそ、提案スケジュールを明確にする理由ができ、積極的にスケジュールを詰めても相手から協力を得やすくなるのです。
逆に相手から相談されて発生した案件であったとしても、
コンペリングイベントが不明確だったり、上司から指示されたから、といった程度のものであれば、Painも薄く、案件が消失するリスクを背負っているということです。

<どのようなコンペリングイベントがあるのか>

IT系の提案でよくあるケースとしては、
来年の●月にサーバー更改時期を控えているので、既存のハードウェア(そこに乗っかるソフトウェア)が継続利用できなくなり、
代替手段を探す必要がある、という例があります。
もし、何の手段も講じなければ、現在の仕組み自体が継続できない、
継続できたとしてもsecurityや動作稼働が保証されないといったリスクが発生し、そのシステム上で稼働している業務の継続性に課題が発生することで、場合により企業の存続に関わる問題に発展することもあります。
企業として、このような事態は何としても避けたい為、
自社の提案が受け入れられなかったとしても、その企業は何等かの対策を講じることが確定しています。
明確なPainと、コンペリングイベントがあることで期限があるので、プロジェクトとしては固い案件ということです。
この場合は、「来年●月のサーバー更改」がコンペリングイベントです。
時期が決まっている為に、提案や条件交渉は期限から逆算されたスケジュールに沿って進められます。

上記のようなわかりやすい事例としては、それぞれクオリファイは通す必要がありますが、
・来期予算の策定に向けて、今年の▲月末までに採用するソリューションを決める必要がある。
・来年の◆月から具体的なプロジェクトを開始することは決まっており、具体的な解決策を探したい。
・2年後から業界に関する法律が変わり対応が必要
といったケースもよくあるでしょう。

<コンペリングイベントを作る>

とはいいながらも、Sales活動をしていくと、
顕在化されたコンペリングイベントがないようなケースも多くあります。
そういった場合はいったいどうすれば良いのでしょうか。
基本的には、相手の事情に沿ったコンペリングイベントを作ります。

業務によっては、提案先企業に業務繁閑が大きいものがあります。
その場合、新たな仕組みの導入は繁忙期には対応できず、自ずと比較的余裕のある閑散期に対応することになります。
年間を通じて具体的な閑散期の情報を聞き出しておき、その時期から逆算して意思決定時期を明確化します。
他には、既存の対応業者が1社だけのケースで、その業者に何か事情が発生して、対応できなくなった際に備えて、
その業務がクリティカルなものであれば企業は大きな損失を被ります。
解決策の1つしてBCP方針・手段を会話し、その影響が最も大きくなるタイミングを共有した上で、逆算して期間を設定していくのもいいでしょう。

相手事情によるイベントが作れれば良いのですが、なかなかそうもいかない場合、苦肉の策として、自社都合によるイベントを設けることもあります。
プロジェクトが立ち上がるような案件であれば、自社のコンサルタントやエンジニア等の稼働リソースの確保を理由にして、意思決定期限を設ける、
他には、自社企業の決算時期を理由にして期限付きディスカウントをオファーしたり、といったケースです。
当然ながら、これらの手法は利益にも影響があるので、安易に用いるべきではありませんし、条件提示したら確実に受注に至ることを確認した上で進めるのが適切です。

コンペリングイベントには様々な事象がありますが、
切迫感の強弱を見極めてながら、進めていくことで、
想定したフォーキャストとのGAPを防ぐことに役立つでしょう。

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