#9 人はやり直せる
~花は,花は,花は咲く,私は何を残しただろう~
私が経営者だった頃のこと,5店舗経営している中に月商1,000万円くらいの銀座の店がありました。この店は売上はそこそこあるもののランニングコストが高くて,年間通算では4勝8敗くらいな成績でした。グループの中で一番売上が大きかっただけにキャッシュフローへの寄与も大きく,一度回転し始めると止められないいわゆる自転車操業状態に陥りました。それでも開業して2年経った時,このまま赤字を垂れ流すわけにはいかないと撤退を決心し,そこで自転車を止めたのです。しかしながら当然,その時会社にあった現金を全部はたいても買掛金の残債を払いきれず,一部は分割払いにしてもらい何とか支払う算段を付けました。
その時の自分の財布には500円も入っていなかったと思います。当時3歳になったばかりの末っ子(今はもう大学生です)の手を引いて,家の近所を所在なく散歩していたところ,公園の脇にスポーツカーのミニカーが落ちているのを見つけました。その時に末っ子が言った「お父さんと散歩すると,いつもいいものめっけるね」という言葉に,あの時の自分は救われた気がします。
人生も経営はRPGではないので,失敗したらリセットして初めからやり直すということはできません。特に経営の場合は,下手を打つと自分も不利益を被るし,周りの人たちにも迷惑をかけてしまいます。負の遺産は財務面でも心理面でもその後の経営に大きくのしかかってきます。
ところで,世の大富豪と言われる人たちの多くは,一度は手痛い失敗(倒産や破産)を経験しそこから這い上がってきている,とはよく言われることです。これは人生をリセットしているのではなく,負の経験もすべて飲み込んで再スタートしているということです。基本的には,経営に失敗しても命まで取られることはありません。
逃げないこと,あきらめないこと,誠意をもって接すること,そうすれば必ず日の目を見るときは来るのです。
人はやり直せる,命ある限り,やり直す気持ちがある限り。
#ビジネス #エッセイ #勇者は懼れず #君のことばに救われた
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正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html