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#10 財務レバレッジは適正か

~借金も甲斐性のうちとはいうけれど…~

私が独立したての頃,お世話になっていた某会長さんから「経営者はカネで血のションベンが出るくらいにならんと一人前にならん」などと言われたものです。「何を大げさな,血のションベンが出たら腎不全で生命にかかわるじゃないか」と私は思っていました,が…。

私にも血のションベンが出てしましました。それは,あてにしていた融資がおりず,2週間後に迫った200万円の支払いの目途が立たなくなった時でした。家族がみんな実家に帰ってしまった夏の暑い日,ひとり布団でもだえ苦しみながら,シーツを赤く染めていました。私もまだ駆け出しだったので,200万円にビビッてストレスにやられて尿道炎になってしまったのでした。

ことの顛末としてはなんとか資金を捻出し(すいません,もう時効ですよね,内装設備のダブルリースを組みました…)危機を乗り切りました。抗生物質を飲みながら「これで俺もいっぱしの経営者になったか」くらいに思ったものです(現実はそんなに甘いものではなく,まだまだ序の口に過ぎなかった…)。

閑話休題,ある程度借金しないと財務レバレッジが効かないのは確かであるものの,いったいどのくらいの借金が適正なのか,最初は分かりにくいものです。会社の規模,業種,自己資本の額にもよりますが,一般的な中小中堅企業であれば自己資本比率は3分の1(33.3%)は欲しいところです(自己資本に対して2倍の他人資本,財務レバレッジは3倍ということ)。

また,投下資本に対する年間の売上という観点から総資本回転率を考えると2回転は欲しいところ。年間売上高に対する当期利益(≒経常利益)を5%とすると,ROA(総資本当期利益率)は10%ROE(自己資本当期純利益率)は30%となり,10%配当をしても20%が内部留保として財務基盤を固めていくことになります。以下本設定で示した,スタートアップからアーリーステージでの目標としたい財務指標です。

自己資本比率=自己資本÷総資本=33.3%
財務レバレッジ=総資本÷自己資本=3倍
総資本回転率=年間売上高÷総資本=2倍
売上高当期利益率=当期利益÷年間売上高=5%
ROA(総資本当期利益率)=当期利益÷総資本=10%
ROE(自己資本当期利益率)=当期利益÷自己資本=30%

#ビジネス #エッセイ #私の仕事 #知者は惑わず

正しいことより「適切なこと」に重きをおく,プラグマティックな実践主義コンサルタントです。経営の鬼門はヒトとカネ,理屈ではなく現実を好転させることをモットーとしています。 お問い合わせは,https://prop-fc.com/mail/mail.html