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日記「わたしだけのために」

夏至。一年で一番お空に太陽が長くいる日。暑いのは好きではないけれど太陽と過ごせない夏至はちょっとさみしい。ようやく梅雨入りした雨降りの肌寒い夏至。食洗機が寿命を迎えて新しい食洗機の設置工事がお昼過ぎに終わる。これから丁寧に使おうと思う。すると今日は丁寧に一日を終えたいな、なんてふと思う。夏至。

今夜は夫も娘も帰宅が遅くなるので夕飯はいらないという。こんな日はいつも適当に夕飯を済ませてしまう。カップ麺とか冷凍パスタとか出先の帰りならひとりで外食とか。案外そうゆう日は少ない。どちらかが食べなくてもどちらかが食べるとなれば夕飯の支度をしなければならない。今日はその案外そうゆう日は少ないの日。誰かと一緒ならばその誰かと一緒に夕飯を食べられるけど、そう上手くタイミングは合わない。

毎日キッチンに立ち料理をして自分が作った物を食べているとすごく嫌になる時がある。なんでもいいから誰かがわたしのために作ってくれた物が食べたい。だから作らなくていいとなると何もしたくなくなるのだ。今日だって作ることはない。

さてどうしようか。夕方になる頃には外が明るくなってきて雨が上がった。新しい食洗機が来たのでついでにキッチンの掃除を丁寧にしたからぴかぴかしている。私がわたしだけのために何か作ろう。お酒も飲んじゃおうかな。スーパーに行く。いつもなら安い方を選ぶけど、今日は野菜もベーコンも生ハムもチーズも高いものを選ぶ。にんにくもチューブじゃないにんにくを一個。わたしだけのためと丁寧に料理をする。お料理番組のように調味料を丁寧に器に配分したりして。いつもは容器からどぼどぼ鍋に入れるけど。切った食材だって丁寧にお皿に盛り付ける。いつもはまな板から鍋に直行だがね。出来た料理はタッパーに入れて食べる分だけ盛り付け。さてひとり晩酌。

スマホをスマホたてに置いて写真を観ながら丁寧に想い出にひたる。お酒を飲む。写真からその時の映像が浮かんでくる。高級生ハムがおいしい。その時の会話に耳を傾ける。ポテサラの味付けが完璧だ。ゆっくり丁寧にわたしだけのために。

一時間ほどかけて夕飯を済ませ片付けを済ませてゆっくりお風呂に入り丁寧に全身を洗う。湯船につかり想い出の余韻にひたる。わたしだけのために用意された夜みたいに雲間からお月様がわたしをみている。温まり過ぎた身体に涼しい風。いい夜だ。

丁寧に過ごした夏至の一日。ひとりきりの夜。誰かが帰ってくる前の静かなうちにひとり眠ってしまおう。

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