日記「今日も御多分に漏れず渋滞につき」

今日もここの幹線道路のここの交差点は渋滞している。上り線も下り線も。昼間の渋滞はちょっと苛苛してしまうけど日が暮れてからの渋滞は嫌いではない。大きな街のネオンよりも、たくさんの人がいてたくさんの光がある。赤いブレーキランプ。対向車の白いライト。赤信号の光。青信号の光。黄色信号の光。点滅するウィンカーの光。きらきらしてきれいだ。

片道一時間の車通勤をしている人に、
「仕事で疲れて運転して帰るのは大変でしょ？」
って聞いたら、
「でも車に乗れば自分の家みたいなものだから。」
って返ってきた。なるほど。

ここには移動する家がたくさん並んでいるんだ。笑っている人、泣いている人、歌を歌っている人、音楽を聴いている人、ラジオを聴いている人、同乗者とおしゃべりしている人、もしかしたら喧嘩しているかもしれない。様々な物語が道交法を守りながらアクセルを踏むのを待っている。

子供の頃から青い案内標識がとても好き。まっすぐ行ったらあそこに行くんだってわくわくする。電車あるあるだと思うけれど、昔、通勤途中に乗り換え駅で、上り電車に乗りたくなくて思わず下り電車に飛び乗ったことがある。仕事をサボって鈍行に揺られ地方都市まで行った。あの青い案内標識をみると左折せずに直進したくなる。

今日もそんな衝動にかられながらウィンカーを出して左折する。ちなみに私、黄色信号はアクセルを踏む派。

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