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easy poem

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簡単な詩を掲載。自由に。詩誌に投稿はしないだろう詩、のちのち推敲して投稿するかもしれない詩。
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2024年2月の記事一覧

easy poem「季節のころ」

easy poem「季節のころ」

節分を迎えるころは
最期の一輪の花殻が立つ
四匹のうち一匹の鬼が
くしゃみをしながら
それを摘みとり
ぱきっぱきっ
と、手もみをする

衣装ケースの中の古くなって
捨て時がきた服を袋に詰める
行事ごとに写るどうしても
名前を思い出せない人の顔
色褪せたアルバムの写真は
記憶の抜け殻さえ
アイロンをあてたとして
シワが伸びることはない

橋を渡りきるまで
ごみ収集車を見送る
足りない気がして
橋へむ

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