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easy poem

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簡単な詩を掲載。自由に。詩誌に投稿はしないだろう詩、のちのち推敲して投稿するかもしれない詩。
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2022年7月の記事一覧

easy poem「sunflower」

easy poem「sunflower」

どうしようもなく
太陽に身をゆだねる
「朝日を浴びなさい」
と、先生は言った
「日焼けはしたくないです」
と、私は言った
私の、朝、と
先生の、朝、は
少しだけ違っていることに
気づかずに過ごした夏

諦めに似た安堵を
枕に乗せて
窓から忍び込む街灯が
映し出した天井の模様を
目を見開いて見る
向日葵は日の出を待って
東を向いたままでいるが
天井はそんなに長く
みつめるものではない

心と身体

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easy poem「半身」

easy poem「半身」

シンメトリーを形成する背骨
は、少しだけ曲がっている
から、相対する肩甲骨
は、右と左をアンバランスにする

右手でハンドルをにぎる
オートマティック車は
右足だけで事足りる
から、右半身に集中する
坂を上って坂を下る時の
ここはいつも渋滞していて
苛つく右半身は
強ばっている
手持ち無沙汰な左半身は
波打ち際で
男と交わる夢をみる

終わりのないあみだくじ
みたいな道で
青い光を見た時
少しだけ

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easy poem「宿命とやら」

easy poem「宿命とやら」

手術ですね。
生まれつき半月板が円形状で、骨に当たって年月とともにすり減り切れてしまったんですね。手術で切れた半月板を縫い合わせて通常の形にしましょう。

同年代くらいの男の先生は整った私好みの顔を微笑ませ、生まれつき髪が細いので毛先をそろえればきれいな重さが出ますからパッツリ切りましょう、的なテンションで言うもんだから私の瞼は文字通りぱちくりしたが、先生が立ち上がった時に目線の高さが同じくらいで

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easy poem「白河夜船」

easy poem「白河夜船」

早朝、
たった一羽の鳩の
声が大きい
私の乳房は揺れるほど
機嫌が良い
それから
そうゆう日
は、やってくる

人々が橋を渡る前に
車が過ぎるのを待つ時
橋を架けるなら
なぜ2台分すれ違うだけの
幅をもたせなかったのだろう
と、人々は踵をならす

近所の奥さんはご主人が
橋の設計をする
という仕事をしていて
橋の幅についての
話をしていた
その饒舌ぶりは
砂まじりの熱風だった

私は眠る

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easy poem「行方」

easy poem「行方」

朝、物干し竿には水滴が整列していた。
そんなに等間隔に並ばなくても良いよ。
律儀な雨水たちを人差し指で、
つ~~~~~~
っとなぞって解放してやった。
生乾きの洗濯物の干し方に、
拘りを持つ私は神経を使う。

昼、入道雲の体操が始まる。
久しぶりにみた夏雲は途中経過。
「大気の状態が不安定です。」
気象予報士はいつもネガティブだ。
高低差のある雲と雲と雲は、
形も色も性格も違う。

夕、冷房を消し

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