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easy poem「行方」

朝、物干し竿には水滴が整列していた。
そんなに等間隔に並ばなくても良いよ。
律儀な雨水たちを人差し指で、
つ~~~~~~
っとなぞって解放してやった。
生乾きの洗濯物の干し方に、
拘りを持つ私は神経を使う。

昼、入道雲の体操が始まる。
久しぶりにみた夏雲は途中経過。
「大気の状態が不安定です。」
気象予報士はいつもネガティブだ。
高低差のある雲と雲と雲は、
形も色も性格も違う。

夕、冷房を消して窓を開ける。
冷たい突風がカーテンをめくる。
雨の匂い、遠雷、鈍く光る、遠い空。
どこかの豪雨の端っこが、
私の街をかすめている。

夜、雲が足早にちぎれている。
夏の大三角、ベガ、デネブ、アルタイル。
明日の私の行方は私が決める。
今年、初めて聴いた蝉の声を、
スタート音、として。

#詩

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