中間管理職と保育士の共通点~大人も子どもも同じだった~

会社員時代の最後のほうでしばらく、ちょっとした中間管理職についていました。

保育士になるにあたり、基本的な考え方の礎として役に立ったのは、意外にもこの中間管理職時代に体験したことでした。

そのころ、自分のグループ内で「困ったなぁ」と感じる子(Aさんとします)がいました。
依頼した業務が、なかなか使用できるレベルまで行かない。
アドバイスをするものの、同じミスを繰り返してなかなか進まない。
どのようにしたらよいものか…と考えあぐねていたとき。
隣の席の頼りにしていた子が察したかのようにポツリと。
「私はAさん、好きなんですけどね。やる気あるし、アイデアマンだし」

それを聞いた瞬間、自分の視野の狭さに気づかされました。
そうだ、私はAさんのできない部分にフォーカスして、いいところに目を向けるのを忘れていた。
依頼していた業務はそれまでの枠組みではAさんがすべき業務だったかもしれない。
だけど、それが合わないなら変えたらいい。
得意な人が得意なことをするのが、組織にとってもいいはずだ。

私はAさんに依頼する業務を、新しい営業方法の提案や営業先のリサーチに変更しました。
そうすると、Aさん自身が楽しそうになり、アイデアをたくさん考えてくれました。
発想を転換するヒントをくれた隣の席の子には大感謝です。

この出来事から学んだこと。
誰かに道筋を提示する立場にいる人間が、誰かを「できない人」と決めつけてあきらめてしまうと、その人はそこで道を断たれてしまう。
もしかしたらそのまま、本人の良さを発揮できずにずっと過ごす羽目になるかもしれない。
恐ろしいことです。

子どもに対しても同じこと。
大人が望むことを大人が望む形でできなかったとき。
この子はダメだ、できない子だ、と大人が決めつけてしまったら?
その子の良さは、もっと別のところにあるかもしれないのに、それは埋もれたまま。
その子の自信が失われ、いいところを発揮するチャンスも気力も失われてしまうかもしれない。

ひとりひとりに、なにかしら必ずいいところがある。
よーく観察すると、きっと見つかる。
イヤイヤが激しくてほとほと困っても、思いもよらない優しさを見せてくれたり。
全然話を聞かないしあばれんぼう……と思っても、好きなことに出会うとものすごく集中してみたり。
あなたのそこ素敵だねって言われたら、子どもだってがんばりたい気持ちになるものです。
だから、子どもの素敵なところをたくさん探したい。

これは、隣の席のあの子が気づかせてくれたことなのです。

いいとこ探しが難しい状況や気持ちのときも、当然ありますけどね。
そうしようってことが頭に浮かばないとか。
でも、めげずに思い出しましょう。

あきらめたらそこで試合終了ですよ。(スラムダンクの安西先生より)

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