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若い衆 ③

夢はなんなの?

彼らは面食らっている。

虚空を見上げる者
腕組みをする者
顔をしかめる者

・・ないっすね
・・ないです
・・わかりません

僕は意外だった。

だが、驚きはしなかった
何故なら、そんなヒトはとても多く、むしろ僕みたいに、幼い頃から「夢」があってそれを追っている人になど、お目にかかったことがないからだ。

そうか・・


今回、ここは深掘りしないでおこう。だがいつか、もう一度この話を彼らとしたい。

話を転じて、僕は、僕の会社での採用の可能性について話した。

今の現状、事業の拡大予定、新規顧客の候補、融資や補助金の見込み。そして冬の仕事に妙案がないことなど。

だから・・

申し訳ないけど、採用は再来年ってことになりそうだ。ごめんなさい。


彼らは、小さく「はい。」と答える。

来年、バイトは絶対必要なんだけど、バイトじゃしょうがないよな。そうだろう?

優秀な人材。僕としても断腸の思いだが、期待をもたせてはいけない。彼らには「家族」がいるのだ。

あと少し色々話したのち、僕らは解散した。
LINEを交換しとくか?という提案に、「是非!」と即答。

帰宅後僕は、御礼のメッセージを送る。

しばらくして一斉に返信が返ってくる。あの後も店にいて、あれこれ話していたのだろう。

返信は、これまた三者三様の内容だった。
その内容から、特にA君とはもう少し話をしたほうがいいように思われた。

彼らとはまた話すことになるだろうが、今回、期待に添えなかったことが悔しい。だから、次までに、何か「進んだ」実績など作っておかなければ。

「若い衆」の話はこれで終わりとなるが、これは社内で共有し、今後の課題として解決していくつもりだ。

なんてったって、彼らがつけたグループの名前は、

大志を抱く


なのだから。

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