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おとなりにぎんが計画『やさしい地図を描くんでしょ』【Daily Recommend 17】

2024.3.27 Release
おとなりレコード

今日は「おとなりにぎんが計画」というバンドを。
3月27日に1stミニアルバム『やさしい地図を描くんでしょ』を初の全国流通盤としてリリースした名古屋のバンドで、オフィシャルサイトの表記を借りれば、メンバーは初音(Vo/Gt=スーパーさくしさつきょくぼーかる)、清水紀花(Dr=スーパーハイセンスドラマー)、実優(Key=スーパーキーボード)、嘉壱(Ba=スーパーベースリコーダ)の4人。
2023年2月23日に結成されたばかりだそうだ。

このバンドのことを半年くらい前に知ったとき、名古屋の友人に聞いてみたら名前だけ聞いたことある感じだったけど、ボーカル初音のことは知っていて、ストリートライブを観たことがあったそう。
バンド結成の流れも、この初音が3人を順番に誘う形で結成されたそうで、作詞作曲を担当している点からもバンドの中心人物と言える。

そこからいくつかの楽曲を聴いてみて、個人的な嗜好が影響してることは否定しないけど、バンド時代から愛聴していて現在はシンガーソングライターとして活動する黒木渚のことを思い出した。
日本語1文字1文字、1音1音がはっきり聞こえてくるし、日常を個人の価値観で描写し、包容力を持ってダイレクトに耳に届いてくる。
そのアプローチはとてもシンガーソングライター的で、もはや弾き語りのみで成立してしまうところをバンドで鳴らしてるんだから、初音の描く「日常」をより色濃く音像化しているように思う。
またひとついいバンドに出会ったあったと、地元名古屋の愛着込みでうれしくなった。


『やさしい地図を描くんでしょ』のM-1“ピアスを外して”では、AIやロボットの急速な普及に対するアンチテーゼのように、人間だからこその生き方を楽しんでいるように聞こえる。
《地下鉄のおっきな窓がいつか/外を旅することを祈りましょう/水平線のスキマに何かがあること/僕らまだ信じてる》には特にロマンを感じる。
ロボットには描けない、自分にしか描けない人生の地図があるよね。
余談だけど、ぼくこの歳でガチャガチャ結構まわしちゃうんで、それを無駄だと言わずに理解してくれる人と仲良くしたいです。


M-2“仕事が終わったら”は、日常で起こり得ることまるごと明るく歌ってしまえ!とどこまでもストレートなラブソング。
《君のはじっこをおそろいにしたいのです》の控えめな感じも微笑ましい。いい距離感。

M-3“ごはんができたよ”は、長めのイントロを抜けると《本を読むなら紙がいい》《映画を観るなら映画館がいい》と歌われ、君も猫もママもお布団も、その手ざわりが恋しくなる仕様。
さっきのロボットの話に通じるけど、こういう温度が伝わるものってとっても大事。
視界が開けていくような転調を経て急に終わるのもおもしろい。

この2曲、おそらく初音の中に具体的な体験があるように綴られているけど、それを誰しもが共感できる切り口で楽曲に落とし込む塩梅、具体的な描写のバランスが絶妙にいい。
あと、この2曲はメンバーにキーボードがいることの存在価値を特に感じられる。

M-4“おーきなあたし”はタイトルのとおり、あたしがおっきくなったらどんなにいいことがあるかを綴った壮大なファンタジーの世界。
《朝を夜にしてみたい》《嫌味ばっか言うあの人をおっきな靴で踏みつぶしてみたい》と自由な発想がおもしろく、自分がおっきくなったら何したいかなーって考えてるとキリがなくて無性に楽しくなってくる。
何か嫌なことがあっても、この曲を聴けばすっと肩の力が抜けて気が楽になれそう。

最後に、M-5“金魚の餌”、M-6“300えん”はどちらも自主制作盤としてリリースされていた楽曲。
結成初期の代表曲としてMVも制作されているのでチェックしつつ、この2曲をきっかけに過去のシングルをさかのぼって聴いてみるのもオススメ。


「おとなりにぎんが計画」、お気に入りバンドの仲間入り。
略し方あるんかな?おとなり?おとぎん?
ただ、この日本語のバンド名の長さももはや音楽の一部で響きが心地よくて、そのまま略さずに呼んでたいかな。
「おまもりのように」とメンバーが願うように、そっとそばに置いておきたい音楽。
特に“ごはんができたよ”は聴くたびに心が温かくなります。


■おとなりにぎんが計画 オフィシャルサイト
https://otonariginnga.amebaownd.com/

■おとなりにぎんが計画 リットリンク
https://lit.link/otonariniginga



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