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幸せは、SNSで競うものでも自粛するものでもない。

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「桝本さん、ハッピーって何でしょう?」
そんな問いをいただきました。

さあ、ハッピーとは何なんでしょう?

仕事をし過ぎないこと?
趣味や余暇に時間を割くこと?
お金に執着せず、稼ぎはそこそこでいい?

なかなか深い人生の問いですね。

第一志望だった夢は廃業し、借金苦に悩み、離婚も経験した僕がたどり着いた“ハッピーとは何か?”を綴りたいと思います。

ハッピーは、競うものでも自粛するものでもない


まず、SNSを開けばハッピーが溢れていて、つい誰かと“幸せくらべ”をしてしまいがちですが“ハッピーは競争するものではありません”。

なぜなら、10万円の高級寿司を食べて「幸せだなぁ」と感じる人と、自分で釣った0円の魚を塩焼きにして「幸せだなぁ」と感じる人では、同じタイムライン上にいても“競技が違う”からです。

さらに、ハッピーは“自粛するものではありません”。

連日のように天災や胸を痛める事件が起きていますが、そんなときにハッピーな投稿や振る舞いをすると、必ず「不謹慎」と言ってきたり、叩いてくる人がいます。

たしかに「おもんぱかる」や「心をくばる」は、日本人の美しいマインドですが、あなたが笑顔でいること、お金を使うこと、快活に過ごすことは、回りまわって誰かにエネルギーを与えることもあるので、あなたがハッピーに生きることは“社会貢献や社会支援”とも言えるのです。

まず、ハッピーとは競うものでも自粛するものでもない。
これを頭に入れて次にステップしましょう。

人生の終わりに「幸せ51:不幸49」ならハッピー


私たちは「幸せ」を求めながら生きていますが、人生は“みんなが幸福になれるように設計されていません”。

受験、就職、結婚では「競争」が生まれますし、資本主義は「格差」を生みますし、国家に属しているだけで隣国の「対立」や「脅威」にさらされたりするからです。

僕の30代までの人生も、同期のブラマヨ、野性爆弾、チュートリアルらとの出世競争に負けて芸人を廃業。作家としてリスタートするも時間と自信を奪われ続け、気づけば借金苦。奥さんにも愛想を尽かされ離婚となり、「なんて不幸なんだ!」と、社会や周囲を呪って生きておりました。

そんなとき、先輩テレビマンのひと言にハッとしたんです。

「自分の不幸ばかりカウントする人生になってないか?」

「人生最後の日に、幸せ51:不幸49だったら勝ちじゃね?」

そう。卑屈になっていた僕は、指折り「不幸」を数えて、日差しの温かさ、他者のやさしさなど、単調な日常にある「幸せ」をスルーしていたのです。

先輩がおっしゃる通り、人生は幸せになるように設計されていないのだから“いつかお迎えが来たときに「幸せだな」と感じられることが、たった1つでも多ければハッピー”なんです。

人は、自分の不幸には敏感ですが、幸福には鈍感です。

「ハッピーになりたい」と願うより「ハッピーだなぁ」と感じる心を手に入れ、増やしていくことが大切なんですね。

ハッピーとは? 「キャッチボールの球」でした


最後は、「ハッピーとは何か?」へのアンサーです。

そしてこれは、手っ取り早くハッピーになりたい人にオススメの方法でもあります。

僕はよく、生徒たちに“幸せになりたいのならボールを回せ”と伝えます。
人は、自分をハッピーにする力はあまり持っていませんが、誰かをハッピーにする能力には長けている生き物です。

家族のために残業を頑張るお父さん、子供のために美味しい料理を作るお母さん、親友のためにサプライズパーティーを企む友人たちがそうですよね。

ハッピーとは、競わず、自粛せず、増やしていく。

そして、キャッチボールの球のように他者に与えていけば、いつか自分にその球は返ってくる。そんなものではないでしょうか。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

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