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第47回 「プロセスエコノミー」は、世の中のほとんどの仕事において、実現困難なものなのか!?

プロセスは売れないものだらけ

プロセスエコノミーとは、完成品を作って売るだけではなく、制作過程自体で収益を得ることである。 ポイントは「プロセスを共有することが収益を得るメイン」になっているという点だ。 商品の機能や性能で差別化を図ることが難しくなった現代、プロセスを共有しファンをつくるプロセスエコノミーが注目を集めている。

先日の『スナック西野』(ゲスト=山口トンボ)の有料版をご覧になられた方は御存知だと思いますが、『映画 えんとつ町のプペル』の続編のプロット(のプロット)が書き上がりました。


「プロット」というのは物語の筋のことです。「こんな感じの物語になるよ〜」といった。
『映画 えんとつ町のプペル』の続編はモーレツな難産でして…半年かけて書いたものを、つい最近、白紙にしました。 #捨てちゃった

なので、今回の執筆はリトライになるわけですね。

ひたすらアトリエに籠って、「エンディングテーマとして『えんとつ町のプペル(@主題歌)』を流すのではなくて、ミュージカルの時のように本編の最後を『えんとつ町のプペル』で締めるように持っていくとイイ感じになるなぁ〜」とか何とか言いながら、パソコンをパチパチ。
1日のうち平均16~17時間はアトリエで独り言を言っています。

さて。
「…いや、その報告がプロセスエコノミーと何の関係があんねん、、」という疑問について、結論から言わせていただくと「プロセスの”ほとんど”が売れねー」ということです。

僕は自分のアトリエ(スナック西野に映りこんでる部屋)には誰一人として立ち入らせませんし、絵を描いている時はまだしも、本(ストーリー)を書いている時は配信することもありません。
キングコング西野といえば、すっかりプロセスエコノミーの旗手ヅラしていますが、実際のところは、西野作品のプロセスのほとんどがマネタイズできていません。
「脚本執筆」と「プロセスエコノミー」の相性って、すこぶる悪いんです。

「売れるプロセス」を捏造する

実際、「プロセスエコノミー」という言葉を聞いた時に、「たしかに理屈は面白いけど、自分の活動には落としこめないなぁ」と思った方は少なくないと思います。

作業の進み具合がビジュアルで確認できる「漫画家」さんや「イラストレーター」さんや「大工」さんの仕事は、プロセスエコノミーとの相性はバッチリだと思うのですが、「事務処理のプロセス」は誰も買おうとは思いません。
つまり、「売れるプロセス」と「売れないプロセス」があって、世の中のプロセスのほとんどが「売れないプロセス」です。

なので、「プロセスエコノミー」を再現不可能な空中戦のように捉えている方が少なくないと思います。
かくいう西野の仕事のプロセスも、ほとんどが「売れないプロセス」です。

西野の仕事のメインは「チマチマと設計図を書くこと」で、まるで見映えがしないのです。
それならば、『売れるプロセス』を持っていない西野はどうやってプロセスを販売しているのか?
これが今日の主題なわけですが、答えは(誤解を恐れずに言うと)「共有できるプロセス(売れるプロセス)を捏造している」というところだと思います。

参加型のもので例えるとイメージしやすいと思うのですが、たとえば『映画 えんとつ町のプペル(1)』の時にやった「仮アフレコ収録」がそれ。
レコーディングスタジオに集まっていただいて、お客さんに「ルビッチ」や「プペル」の声入れをやっていただいたのですが、本来、あんな作業工程はなく、ああいうのは大体、監督やアニメーターさんがやったりします。

カジサックがアフレコ収録に来た時もそう。
緊張感を出す為に、わざわざ関係者の皆様に立ち会っていただいて、「プロセス販売用」の時間をイレギュラーで設けたんです。
要するに、「販売できるプロセス」を”コストをかけて”作っているんですね。
そうでもしないと僕の仕事のプロセスなんて売れないんです。

ルール(マナー)は、「とはいえ、ゼロから捏造しないこと」かなぁと思います。

実際に存在する「売れないプロセス」に手を加えて「売れるプロセス」にする…といった感じ。
よく「いやいや、僕の仕事のプロセスなんて誰も興味がないよ」という意見を聞くのですが、そりゃそのとおりで、そのまま(プレーンな状態)だと誰も興味がありませんので、売れません。
一手間かけて「売れるプロセス」にする…ということが大事なのかなぁと思います。
参考までに。
現場からは以上でーす。

西野亮廣

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