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外資コンサルとSaaSベンチャーで求められるCapabilityの違い(STAR WARSを交えて)

こんにちは。少し投稿が滞ってしまいました。最近はもっぱら週末に家でSTAR WARSを見返す日々を送っています。久しぶりにこの作品を見返すと、毎回見るたびに受け取れるメッセージが異なり、都度新たな気づきがあるが故に、番人に愛される作品なんだとしみじみ感じます。ちなみに余談ですが、私は大学時代、ゼミで映画研究をしていました。今回はこのSTAR WARSの話を交えながら、外資コンサルとSaaSベンチャーでの働き方や、求められるCapabilityについて書いていきたいと思います。STAR WARSを見たことない人は・・・ぜひ見てください笑

外資コンサルはジェダイ、反乱軍はSaaSベンチャー

古き良きジェダイ
STAR WARSにおけるジェダイはエピソード1からエピソード3が最盛期で、いわばフォースを操るものとして、共和国を陰で支える存在として君臨しています。基本的には幼少期からジェダイテンプルにて厳しい修行を行い(ジェダイ養成施設のようなもの。属するジュニアメンバーは”パダワン”と呼ばれる)、一定の基準を満たすとジェダイマスターに昇格します。基本的には一人のマスターが持てる部下は一人で、いわば徒弟制度のような動き方をします。有名なのはオビ=ワンとアナキンのコンビですね。もともとアナキンはクワイ=ガン(エピソード1に登場)にその才能を特例的に見出されジェダイとしての修行を積むことになり、フォースやライトセーバーの使い方等、ジェダイに必要とされる訓練を施されます。当然ジェダイには厳しい戒律があり、無抵抗の相手を殺してはいけない、恋愛をしてはいけない等多種多様な禁止事項も設けられています。またジェダイの任務はジェダイ評議会による強いガバナンスのもと厳格な統制下で実施されるため、実力があろうとも勝手な行動は許されません。このような厳しい環境のもとで、ジェダイは気の遠くなるような研鑽を積むことでようやく一人前のジェダイとして認められるのです。(アナキンはこのジェダイの中で最高位に君臨するマスターに昇格できず、自分は評議会から認められていないと考えたことが、彼がシスに堕ちた一つの原因とも言われます。)

古のコンサル
一方のコンサルはどうでしょうか。あくまで自分が就活をしていた2012年頃まで話を戻しましょう。当時は採用人数も非常に少なく、特に戦略コンサルはごくわずかしか入社できない世界でした。(大量採用と言われているデロイトやアクセンチュアですらそれぞれ40名、100名)実際入社してみると、すぐに国内でパワポやエクセルの研修、そこから海外研修でグローバルメンバーとの模擬PJTのようなトレーニングを経てすぐに現場に放り込まれます。現場では気難しい上司の前でひたすら夜中までスライドのダメ出しをされ(ひたすら「イケてないね」と言われるが、何がイケてないのかわからず思考がストップする)Excelなんてそんなにゴリゴリ使えないのに、いきなり「次フェーズのPJTの費用を計算して朝までにメールで送っといて」といった指令が夜11時に飛んできて、そもそも単価も計算方法も知らないし上司帰っちゃったし・・みたいなことが起きたりと日々無茶ぶりが続く中でまさにライトセーバーやフォースの練習をしているような気分でした。当然自分はジェダイマスター(パートナーとかプリンシパルくらい)になるんだ!と必死に自分の技を磨いていたのを覚えています。中には途中プロモーションできなかったり、PJTで思わしくない評価を出されコンサルを去っていくような人もたくさんいました。とにかく当時はいち早く一人前のジェダイになる、こればかりを考え日夜仕事に取り組む、終わりなき日々だったような気がします。(じゃないと家に帰れないし、飲み会にも行けないですからね・・)

時代の変化
エピソード1~2くらいまでは基本的には地上戦がメインで多数のドロイドたちをジェダイがサクサクと蹴散らせながら、最後はライトセーバーを用いた一騎打ちという戦い方が主流でした。ところがエピソード2,3の後半からはクローントルーパー、ストームトルーパーといった大規模な軍隊が登場します。(あの白いお馴染みのロボットたちです)そしてエピソード4~6になると、ほぼ宇宙船同士の空中戦が完全に主流となります。
このような時代の潮流の中で、ジェダイはこれらを指揮する司令官のような、或いは超極秘の任務を担う特殊要員として、徐々に立ち位置を変えていったのです。

一方コンサルもまた変化しています。かつては4,5人でPJTを組成し3ヵ月で一定のアウトプットを出すという少数精鋭型の案件の獲得方法から、30~100名のメンバーを集めて、PMOとしてクライアント先に長期的に常駐させる手法です。実際にExecutionまでを考慮するとクライアントからすればよりインパクトのある方法であると同時に、長く常駐されることでクライアントもそれに慣れてしまい、いつしかコンサルなしに自走できなくなっていくことも稀にあります。そうすると次フェーズの提案も楽だし、案件単価も大きいのでパートナーやSenior Managerもハッピーということで誰もこのやり方を否定はしないのです。

同時に働いている若手のコンサルメンバーは、一人当たりの負荷も下がり、大企業の伝書鳩のような働き方になります。自分でPJTの着地を見極めたり、クライアントの期待値を調整する機会もあまりなく、コンサルとしての基礎的な素養があまり身に付きません。まさに、ジェダイを目指してコンサルに入ったら、いつの間にかクローンになっていた、といっても過言ではない状態になるわけです。(実際PMOだけでManagerくらいになっちゃうと、”優秀な便利屋”として扱われその先のキャリアがかなり大変というのも何人も見てきました)もちろん、コスパを考えればとても高いのですが・・・


というわけで今日、従来の少数精鋭でキレッキレのアウトプットを出すだけではもう強いインパクトを出すコンサルティングは難しく、こうして人をたくさん突っ込んでExecutionをするというスタイルに、確実に変わりつつあるのだと思います。最初はアクセンチュアがこの方向に舵を切り(入社当時4500人だった従業員数は今や13000人くらい)、続いてBCGやMckもインプリ部隊の採用を行っているので、業界全体がもはや以前のような”ジェダイの古の時代”からの脱却を図っているのかもしれません。故に、今新卒や中途でコンサルに入っても、ジェダイとして育成してもらえるのはほんの一握りだと思います。どの企業に入るかも重要ですが、いつ入るかというのはもっと重要なのかもしれません。

レジスタンスから見るSaaSの働き方
レジスタンスはエピソード7~9に登場する、共和国奪還に向けて組成されたシスに対する反乱軍です。指揮しているのはあのアナキンの娘でありルーク・スカイウォーカーの妹である、お馴染みのレイア・オーガナです。彼らは圧倒的戦力のあるファースト・オーダー(帝国軍)に対して、数少ない戦力で果敢に戦いをしかけます。そして常に劣勢ながら毎回奇跡的な勝利をもたらし、最終的には勝利を収めるのです。

両者の組織マネジメントには大きな違いがあります。
ファースト・オーダーは最高指導者のスノーク、カイロ・レン、及びハックス将軍を軸に、独裁的な組織運営を行っています。軍隊のほとんどがストームトルーパー(白いロボット)で構成されており、彼らは全て上層部の指示の下で動くという指示命令系統になっています。

一方のレジスタンスは、リーダーはレイア・オーガナですが、彼女は常に指示を出しつつも、現場の自律性に委ねている部分が大きいです。例えば、腕利きパイロットであったポーは臨機応変に状況を見極め、ファースト・オーダーの敵艦を倒したり、ストームトルーパーであったフィンはさまざまな作戦で成果を出したりと、多様なバックグランドのメンバー自律的かつ熱狂的に動き回っているのがレジスタンスの特徴です。(実際物語の中でも白人黒人アジア人がいて、他のウーキーのような種族もいます)縦割り組織ではなく、ティール組織のような形で、うまく自分たちの強み最大化させ得る組織運営と言えるでしょう。また彼らには共和国の奪回に対する強い使命感やかつてジェダイが支えた共和国に対する懐古的な憧れがあり、常にそれを共通認識として持ちながら戦っています。

SaaSのベンチャーはこのレジスタンスに近しい雰囲気だと勝手に私は思っています。厳格な指示命令系統があるわけでもなく、様々なバックグランドのメンバーがそれぞれの強みを生かしながら、ティール組織の下で多少粗削りでも迅速に行動を起こし、何かしらの成果を得る。当然ベンチャーという大手企業と比較した際のリソース不足を補うためには、個々のメンバーのケイパビリティを最大限に活かしながら、局所戦で勝っていく必要があるからです。そして当然彼らは、自分たちの新たなマーケットを作る、大手企業に打ち勝つといった大きな野望を抱いています。自律的、熱狂的、そして一つの大義・共通認識のもとで動くという働き方こそが、SaaSベンチャーがレジスタンスに近い所以と私は考えています。


それぞれの時代のヒーローは?

コンサル、SaaSベンチャーを、それぞれジェダイ、レジスタンスになぞらえて説明してきました。結局コンサルにはジェダイが、そしてSaaSベンチャーにはレジスタンスにいるようなメンバーが必要とされる、といって概ね間違ってない気がしています。ざっとそれぞれで求められるケイパビリティや人材要件をつらつらと書いてみます。

◆古のコンサル(ジェダイのような”Super”な素質とたゆまぬ努力を要する)
・自頭の良さ
-的確かつスムーズに物事をインプットし、アウトプットできる
・体力
-少々の徹夜でも耐えられる
・迅速かつ精緻なタスク捌き
-大量の地味な作業を的確かつスピーディーにこなせる
・論理思考力
-ファクトとロジックをベースに、正しく物事を説明できる
・(フォース)
-クライアントをしっかり納得させ、時にうまく操れる(管理職以上は必須)

◆SaaSベンチャー
・自律性
-言われなくても自分から動くことができる
・カオス耐性
-刻々と変化する事業環境で、今何をすべきかを常に考え変化を許容できる
・周囲への共感力・巻き込み力
-施策をいち早く現場メンバーに伝え、それを一緒に推進できる
・熱狂性
-市場や社会を変えるというようなことにmotivateされる
成果へ執着心
-どんな状況下でも計画を達成しようとする胆力がある


最後に

いかがだったでしょうか。コンサルからベンチャーというキャリアパスを思い描く人も多いと思いますが、求められるケイパビリティは似て非なるものです。中にはベンチャーが肌に合わず早期に退職していく人も多いため、どちらも経験した私の独自の目線で、独断と偏見たっぷりで書いてみました。どちらも私にとっては素晴らしい職場でしたので、興味のある方はぜひ足を踏み入れてはいかがでしょうか。

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