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ドイツの街中に残る「つまずきの石」|ナチスの極秘計画の歴史

ここドイツでは街中を歩いていると、タイルの中に紛れて、金色の四角形のプレートが埋め込まれているのをよく見つけました。

「これは何?」とドイツ人の友達に聞くと、その友達は
「これはホロコーストで犠牲になった多くのユダヤ人を忘れないために、こうやって住んでいた場所に埋められているんだよ。私はこの石を見つけたら絶対に踏まないようにしている。」と教えてくれました。


ホロコーストで犠牲になったのはユダヤ人だけでなく、多くのロマ人(東ヨーロッパを中心に住んでいる移動民族)、ポーランド人、ソ連の戦争捕虜、政治犯、エホバの証人(キリスト教系の宗教団体)、同性愛者などが、「劣った人種」「社会的に危険な人物」として迫害・虐殺されました。


タイルには名前と強制国外退去の年とその後の消息が書かれています。強制収容所では名前は剥奪され、全員が番号で管理されていたため、番号による管理がまだ行き届いてない時に誰にも知られず亡くなった人も多くいました。


またベルリンの街中にはナチス政権の下命を奪われたロマの人々を記念する碑が建てられていました。

元ドイツ連邦大統領ローマン・ヘルツォークのナチ政権と犠牲になった
ユダヤ人やロマの人々に向けられた言葉


そしてこのつまづきの石について調べていると、私は衝撃の事実を知ってしまいました。


ホロコーストよりももっと前に、ナチス政権のもとで秘密裏に安楽死計画が行われていたそうです。この計画とは、障がいを持った人々のことを「遺伝的に劣った人種」とみなし、「安楽死」(障害という苦しみからの解放)させる計画でした。

障がい者を支えるために国民が負担する金額6000ライヒスマルクであり、
福祉施設の撤廃を促す優生学の思想が表れているポスター


安楽死といっても実際は一酸化炭素ガスによって殺していました。この計画によって降伏の年1945年までに約20万人の身体障がい者、精神障がい者の命が奪われたと記録されています。

このバスによって安楽死計画実行の施設まで運ばれました
「殺人バス」と噂されていたようです


障害者の大量殺害を計画したのはドイツの精神科医たちであり、現場で殺害を遂行したのも医師や看護師たちだったそうです。その医師の一人であるアルフレート・ホッヘは重度の障がいを持つ人のことを「生きるに値しない命」とみなしていました。


アルフレート・ホッヘは書籍を残しています。タイトルは『生きるに値しない命を終わらせる行為の解禁』。この本は日本語にも翻訳されているので、興味のある方はぜひ手に取ってみてください。




最後まで読んでくださりありがとうございました。


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