見出し画像

おいしい料理で幸せに。幸せな気持ちでおいしい料理に。

私が初めて九州に行ったときのこと。この時は仕事だから先輩方も一緒だ。私にとって、新しく訪れる場所はいろんな意味で落ち着かない。どんなとこだろうとワクワクする半面、日本国内でも何かしら不安を感じるからだ。こういう時、先輩方に色々案内してもらいながら徐々に慣れていくことが不安解消の近道だ。

そんな中バイキング形式で食事をする機会があった。その土地で初めてのご飯。周りは先輩方の顔見知りの人はいるが私は話したことない方ばかり。そのほんの数秒に起こったことである。

気さくに返事をしてくれた

そこに白ご飯用に高菜漬けが置いてあった。私は正直に申し上げると、今まで高菜漬けは、ご飯と合わせてもそこまでおいしいものと思っていなかった。
ただ、高菜漬けは九州の名物。現地で食べれば印象も変わるだろうという気持ちで白ご飯に乗っけていると、対面から声が聞こえた。
「今日は高菜がたくさん用意されてるね~、嬉しい!」
と友人に声をかけている同じ職場の方。高菜ってそんなにすぐ減るくらい人気で美味しいのか?その時になぜか好奇心が勝って、思い切ってその方に初めて声をかけてみた。
「あの、高菜ってそんなにおいしいんですか?」

普通なら急に声をかけられたらびっくりして戸惑うはずである。
が、その方はむしろ気さくに明るく、
「おいしいよ、このマヨネーズと醤油が合うんだから!試してみて!」
と、色の濃い高菜がさらに濃くなりそうなマヨネーズと醤油の量を、慣れた手つきでさらっと盛って席へ向かっていった。

忘れられない九州の味へ

私も予想外の返事に驚いた。が、その戸惑いよりも、そんなにおいしいんだ!とワクワクが止まらなかった。その気持ちを抑えるように控えめにマヨネーズと醤油を高菜飯に合わせた。
席について口にした瞬間、私が持つあの高菜のイメージをはるかに超えた美味さが香りとともに広がっていく!
あの高菜漬けが白飯と最高級にマッチしている!さらに九州特有の甘めの醤油が高菜の味を引き立てるからどんどん白ご飯が消費されていく。まさに今、九州のソウルフードが、自らの手で生み出されたのである。

気持ちが食事をおいしくする経験

高菜×マヨ×九州の醤油の組み合わせは確かに美味しかった。ただ私が感じたのは単純においしかっただけでは説明できない幸福感もあった。
おそらくこの幸福感は、予想を超えた味になったアレンジ高菜に加え、気さくに返事をしてくれたその先輩の心遣いのおかげだとも思っている。

美味しい食事はすごく幸せな気持ちになるのはよく感じていることだが、食事に関わる人との気持ちやつながりもまた幸福感を生み出すのだなと実感できた。
その先輩にとっては、「そんなに喜んでくれたの?笑」と思うほど些細なことかもしれなかったが、その時に教えてくれたからこそ幸せな気持ちで食べることができた。この高菜めしの味は忘れられない。


サポートいただけるお気持ち非常に嬉しいです。まだまだ修行の身、本などで学んでいこうと思います!