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広域高校コーディネーターという可能性の模索

地域や学校に縛られず、複数の地域や学校と接点を持つ。そんなコーディネーターがいるとするならば、それはどんな役割を担う人たちだろうか。

伴走の約束に続き、そんな問いを絶賛模索中なのが、昨年度から島根県でスタートした、高大連携推進員という新しい役割。島根県を松江・出雲・石見の3つのエリアに分け、各エリアに一人ずつ推進員を配置している。

所属は県教委。兼務で、各エリアの拠点となる高校にも配属。業務は名前の通り、高校と大学(特に県内大学)との連携を促進すること。その結果として、高校生たちの探究心を高め、進路実現にも繋げていくことを目的としている。

ちょうど先週、その推進員たちの来年度の役割を検討する内部会議を実施。これまでの課題と兆しを振り返りながら、未来に想いを馳せる。

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昨年度は制度の立ち上げ期で、本当にひっちゃかめっちゃかでカオスな状態だったけど(ほんとに申し訳ないくらいの苦い経験…。たくさん勉強した…)、今年度はこの3人とじっくり並走する時間を取ることができて、暗中模索ながらも、何となくのこの役割の感覚、可能性を掴みつつある。

そう、県教委に所属する限りにおいて、県内全域をカバーした、広域のコーディネーターの位置づけとなる。(以下、コーディネーター=CNと略します)

ただ、特にCNを一度は経験したことがある人にとって、「広域の」CNは、デメリットばかりが思い浮かぶように思う。

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CNのコーディネート業務の真髄とは、人々の感情の機微を読み取り、あるべき絵を描きながら、ベストミックスで調整する役割だ。その際、現場のリアルな状況を全身で感じ取ることが何よりも重要になってくる。広域CNは、まずもって、これを感じ取る機会が圧倒的に少ない。

加えて、教員や地域の人との関係性の太さによって物事が大きく動いたりする現場において、物理的にも遠い広域CNは、距離を詰めることができる機会も少なく、関係性はなかなか太くならない。

「広域」というのは、「現場から遠い」ということと同義であり、かといって、県教委そのもののように中間支援組織というわけでもなく、何とも中途半端な立ち位置とも言える。

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でもそんな風に現場から浮いているからこそ、教育リソースへのアクセスはとてもとても”ふっ軽”にいけたりする。

また、リソース提供側から見れば、一つ一つの現場、関係者と手を組んでいくよりも、広域CNと組めば、一気に複数校に手を伸ばすことができ(伸ばす可能性をつくることができ)、協働の効率性は格段に高まるようにも思える。

そう考えると、この広域CNが活きる方法は、きっと、地域では手に入らないようなリソース開拓に力を入れるということ。そして、現場が見えにくいからこそ、現場が良く見えている各地域・学校で活躍しているCNや要となる教員、自治体職員と連携・協働していくことに尽きるのではないかと思っている。

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とはいえ・・・いまはまだ、拠点校での業務もしっかりみっちり担っているので、隙間時間を使いながら、コツコツと他校や他地域、大学とのコミュニケーション密度を高めている最中。

「何ができるんだろねー。」って、いつも3人で会話しながら、その輪郭を確かめつつある。どんな風に転ぶのかなんて誰にもわからないけれど、まだ世にない役割を模索しているということで、そのプロセスを楽しく!想定外の中でも愉快に明るく!進めていけたらいいなって、今は思ってる。(本人たちが一番大変なんだけどね。苦笑。個性豊かで、頼もしく、心強いメンバーたちとの挑戦は楽しい。いつもありがとう)

そんな中、推進員の一人である吉崎 聡一君が、今週水曜日にある、文科省事業「第2回全国高校コーディネーター研修」にて、学際融合学科におけるコーディネート機能、というテーマで事例共有を予定している。

研修の中でグループ協議もあるので、どんな話になるのかとても楽しみ。色んな切り口で、CNを深めていけたらいいなと思ってる。

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先週末は同じく、文科省事業の県教委向けの全国高校コーディネーター研修に参加。

県教委向けということで、県内のCNを支える仕組みづくり、エコシステムの設計というテーマで、所属部署の調整監と共に、島根県での事例を共有させてもらいました。

島根県において、CNの重要性は言わずもがな。その一方で、県や自治体、CN本人や高校とのベストな関係性はまだまだ模索中。(と言うより、置かれた環境によって、千差万別。常に新しさを更新していく、といったところだろうか)

この新しい役割、新しい風が、きっと教育現場に良い変化を起こしていくことを信じている。信じているというか、そうゆう風にしていきたい。

まだまだできていないこともたくさん。自分にできること、さらに探究していきます。

※スライドは研修で我らがエミさんが提示してくれたCNの職務と、活躍するための問い。
※そして、11月頭にあった、しまね大交流会での推進員についてのプレゼン風景をちらり。

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