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文学

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短歌と詩と小説。
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短篇小説「ガールズ・フロム・ザ・スカイズ」

まえがき 初めて小説を書ききりました。 10年前から小説を書きたいという気持ちだけはずっとあって、半月ほど前に書き始め、今日なんとか完成させました。 書ききれた理由は大きいものから小さいものまでたくさんありますが、きっかけとなったのは雷獣の動画です。村上春樹を読んで、彼が野球観戦中に小説を書こうと思い立ったのと同じように(と言うとおこがましいか)俺も小説を書こうと思って、書いてみました。 それはそうと、この前バスに乗ってたらミサミサみたいな格好の人がいてかなりびっくりし

詩「きっと英雄は来ないと言ったよ!」

はじめての詩です。 ◇◆◇ ◇◇◇ ケーキを食べなかったのは僕だけだった、その理由を70字以内で説明しなさい、と言われてもしかたないレベルのことをしでかしたのだろうか、僕は、頭のなかでは、蝶のように舞う蜂、であり、蜂のように刺す蝶、でありたい、とつねづね願っているのだが、くそ、そんなに単純じゃないらしい、これで70字くらいかな、満足ですか。 速いほうのワイパーみたいに、計器が指し示す、判読できない数字を、生きるために解釈し続けている、僕は、暇さえあれば、祭壇をつくって

短歌連作「オルタナティヴ」

廻避する手がないことを知ったのはお遊戯が始まってからだった 3人の桃太郎がおじぎをする 1人は衣裳のみの出演 どこからか撥条があらわれ きえて べつに探してないけどそこに 思春期の間歇泉を避けるためやわらかいほうのソファに飛びこんだ 「テンプレとか劃一的とかはいいからさ、もっと君も訊いてよ。来てよ」 あいつらが(気持ちよさげに!)飛ぶせいで僕らの大地が小さく翳る 1組と2組と2組 8八の限界聚落解体決定 何者かに侵蝕されてるぞ 僕ら 古文を逐語訳するみたいに

短歌連作__is not empty

初めて連作というものをやってみた。 テーマに沿って絞り込んだり並べ替えたりする作業が非常に楽しい。 今回は連作ということで、かなり気合が入っている。 縦書きにしたかったから、画像という形態を採った。スマホの方は横画面にしたりして読んでいただきたい。 (画像の画質が悪そうなので一応PDFを置いておきます)

かなり生き急いでいる短歌_24首

図書委員の当番中に読んでいた。 しおりがなかったからセブンイレブンのお手拭きを挟んだ。 薄氷の上の生活と、Twitterでの不安定な繋がり。歌に危うさが漂っている感じがする。 以前から「了解」という言葉は電子メールによってその重さを奪われているんじゃないかと思ってたけど、本書のタイトルはまさにそういう意味を含んでいそうだ。 『京大短歌 29号』と青松輝『4』を買った。 京大短歌会は学生短歌界でもかなりの重鎮だと聞いて気になったのだが、偶然にも29号には青松さんが寄稿して

生きているということを要素還元主義的に理解しようとする短歌_35首

↑前説すっ飛ばしボタン(特許申請中) 最近、「無」や「曖昧」の美しさを分かりかけている気がする。 これまでも、いわゆる絶景やポップなイラストなどのポジティブな美についてはセンサーが反応していた。 対して、今僕が知りかけているのは、暗い音楽や意味不明な小説などのネガティブな美である。 「そんなのみんな感じるだろ」と思われるかもしれないが、以前の僕には、ネガティブなものを良いものとして受容する感性がなかったのだ。ポジティブなものだけを見て聞いていた。 今は、五感が一つ増えた

対港区女子短歌_1首

港区女子が寿司屋に殴られたとか殴られてないとか、背景が歪んでるとか歪んでないとか、そういう事件が話題だ。 今回は、そんな世相をみじん切りにする短歌を作ってみた。 置く場所をまちがえた呼び込み君に逆位相の波をぶつける

教室のすみっこで作った短歌_18首

うれぴ〜〜〜!!! 今回は、教室のすみっこで生まれた短歌を大紹介。 僕の席は窓から外が見えるので、考え事をするのに向いている。とてもいい席だ。 近くで工事をやってるらしく、その音も聞こえる。 レゾナンス つり革を持つおじさんのおしりのリズムとガタンゴトンが 駅前のエホバを無視する学ランは部活ででかい声を出してる 雪だって!! 手の体温を抵当に入れて楽しくスマホを凝視 けだるげに通学路を歩いていたら雪が降って2分でやんだ 石を切る音と世界の泣き声を重ねた音は同じら

年末年始の短歌_9首

とか言いながら8/9は年始の短歌。 前回よりも上達している気がする。 柿ピー食べすぎかな、いや、もうひとつ食べれば何かが見えてきそうだ 石川を憂いながらも大阪へ向かう車内は「き」ではなく「けり」 ジムニーの若葉マークを隠すため緑と黄色を半分ずつ塗る 背が伸びて声も低くなったけどくしゃみは未だ「はくちっ」のままで 黒豆のなかの僕らは兄弟で 年に1回会う程度の仲 遠縁の気まずいどうし目が合って苦笑いするついたちの午後 Amazonの緩衝材着て人ごみをかき分け願うは

はじめての短歌_5首

木下龍也と青松輝(敬称略(最近まで僕はずっと「敬省略」だと思って生きていた))で興味を持ち、映画「サイダーのように言葉が湧き上がる」に背中を押されて、短歌を詠んでみた。 初めてだからそういう補正込みで読んでね。 あ、虹じゃん あの人も気づいたのかな、そうしたらもう他人ではない ヘルメットかぶってるのに信号無視 命をどうしたいんだよ ひげ剃って数日経ってあらわれる生命の尊さしたたかさ 四ツ切の画用紙ですらこのデカさ 世界は意外と広いのかもね ちょきちょきと髪が解体さ