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生きているということを要素還元主義的に理解しようとする短歌_35首

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最近、「無」や「曖昧」の美しさを分かりかけている気がする。

これまでも、いわゆる絶景やポップなイラストなどのポジティブな美についてはセンサーが反応していた。
対して、今僕が知りかけているのは、暗い音楽や意味不明な小説などのネガティブな美である。

「そんなのみんな感じるだろ」と思われるかもしれないが、以前の僕には、ネガティブなものを良いものとして受容する感性がなかったのだ。ポジティブなものだけを見て聞いていた。
今は、五感が一つ増えたような嬉しさがある。

六感目を教えてくれたのは、「氷菓」という曲と、「ツィゴイネルワイゼン」という映画だ。これらに加えて、短歌を詠み/読み始めたことも大いにその助けとなった。

最近はこういった精神的な成長を感じることが多く、人間という生き物のすごさに改めて敬服している。

他にも自分の精神の変化について書き残しておきたいことはあるが、それはまた別の機会にしようと思う。
1月もそろそろ終わるから、1月中に作った短歌はそれまでに全部公開してしまいたい。

あ、先に挙げた曲と映画は超絶おすすめなのでぜひ!










🔵


国境の長いトンネルを抜けると、分娩室であった。


ぼくらはみんな生きている←ほんとだよだってほらレーズンの湿りけ


ハッピー・ゴー・ラッキー 私はいつまでも生きているしどこまでも行ける


久々に旧友と会った月曜日 雪降る空へ「弱冠」を放る


堤防に座る ドロステ効果にもエンディングが来ることを願って


人間は適材適所というけれど線香は迷宮で光るよ


レコードをCDプレーヤーに入れるようなピチピチの若者、僕


同様に、ヒートテックのありがたみは着てないときにこそ現れる


縁石に乗り上げている車ならたやすくひっくり返せる気がする


僕がもし有袋類であったならいい枝や石などを入れたい


「もうすぐお風呂が沸きます」死ぬ時もそうやって知らせてほしいよな


遺影には死に顔を使ってくださいきっととびきりの笑顔ですから






7色のマーブル模様の人生で信じられるのはチョコレート


モンエナでごまかすまぶた 日付変更線を届けに来るスクーター


鼻を抜く冷えた空気の鋭さに誤反応する嗅覚神経


父ちゃんがいい肉焼いたそのあとで炒飯を作るハイエナの兄


旨すぎてオージービーフのステーキを反芻している わかってるけれど


チェキの色が濃くなっていく間にも150人が生を受けてる


本当はシックスパックなんだけど少しの脂肪で隠れているだけ


8年前ナイジェリア人の先生をコーヒー豆と呼んでいたのを


心拍が単調増加の1日目 見たるはロースカツの朝焼け


焼きそばはうまかったけど深緑の紙吹雪のみホワイトにびちゃ


辛子明太子をつぶすとき食物連鎖のトップにいるなと思う






目が覚めて知らない天井だったこと 自室のそれもよく知らないこと


海沿いの長いアーケードを歩く唯ぼんやりした不安とともに


社会とは打ち解けられなくて分からないから調べる「人生 生き方」


街灯は僕らを照らしてくれている 虫の命を電源にして


道を説く相手もいなくて今日もまたティッシュペーパーのやは肌にふれる


愛情は時間を経ると腐敗する 19年目の諢帛ヲサあいさい弁当


to be or not to be 隣合う柄を持たないパズルのピース


5時間目 異能力者になることを妄想してたら折れたシャー芯


もし僕がアイスクリームだったなら氷庫の外に出られるだろうか


仕方ない、努力をせずに温泉を掘り当てたから石油を浴びる


もう何もかもがどうでもよくなってネアンデルタールの夢を見る朝


絶望が明るいけれどサングラスは持ってないから目を瞑ってる









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