見出し画像

意味ある人生を行く

北京郊外で、案内役の女性と昼食を食べながら
彼女の生い立ちを聞いたつづき。
 
↓前の記事

彼女の告白はさらに続き、
孤児だったお父さんは亡くなり、
お母さんはそれがきっかけでうつ病になったうえに
今は癌を患っているという。
その笑顔からは想像もしなかった厳しい環境で
頑張ってきた彼女。
なんと言葉をかけてよいか分からなかったが、
なにか言葉をかけたいという思いで、
 
「お父さんお母さんはあなたを愛してなかったわけじゃなくて、
 表現の仕方を知らなかっただけじゃないかな。
 今あなたはもう、自立した立派な大人。
 あなたがほしい家庭は、
 これからあなた自身で作っていく力があるわよ」
 
励ましになるかどうか分からないが、
そう言ってみた。
 
すると彼女は、お父さんがお母さんにラブレターを送った話や
使えない贈り物を送った話(笑)などをしてくれた。
 
「お父さんはお母さんを好きになって、
 ロマンチックなラブレターを書いて、
 それで一緒になれたんだね。
 そして、あなたが生まれて、幸せだったと思うよ」
 
そう言うと、無言でなにか考えているようだった。
 
「生きてる意味が分からない」
 
そんなようなことを彼女が言った。
そのテーマ、ちょうどNHK Eテレ「こころの時代」で
見たばかりだったので、あまりの偶然にびっくり。
 
ユダヤ人精神科医フランクルは
ナチス・ドイツ下でユダヤ人の強制収容所に送られ、
自身の父、母、兄、そして最初の妻を失ったこと、
そのフランクルによると、
「あらゆる人生には意味がある」
らしいと、番組で見知った表面的なことだが、
そんなことを伝えた。
 
はじめて会ったのになぜか
とても初めて会ったとは思えないような話を
することになったこの不思議。
 
この日出会ったのも何かのご縁。
彼女が、彼女ならではの意味ある人生を
歩んでいけますようにと、
去っていく彼女の後姿を見ながら
そう願わずにはいられなかった。


↓前の記事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?