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『関係づくりの日本語会話 雑談を学ぼう』について

雑談についての講演を聞き、
雑談とは、人間関係を構築・維持することに主眼がおかれた
「交流会話」にあたるという話に
目から鱗だった私。

ご講演の後半には、雑談の話題選択についてのお話もありました。
 
関係を構築するための雑談の話題選択のコツとしては、
 
その場の話題…①その場にいる人やその場にあるものを話題にする
       ➁相手の服装や持ち物について話題にする
前にした話の続き…以前相手から聞いた情報を再び話題にする
 
等があることをご紹介くださり、
話題を取り上げる際の言語形式についても
例を挙げてお示しくださいました。
 
例えば、その場の話題の場合、
 
「あ、(名詞)、~ね。」
(あ、おでんのメニュー、増えていますね。)
(あ、その髪型、素敵ですね。)
 
「あ」で気が付いたことを示し、相手の注意を引くパターン(笑)、
なるほど、そう言われてみれば使ってますねー。
 
前にした話の続きだと、
 
「この前【相手のせりふ】って言ってたけど、
 (結局)どうなった(の)?」
 
うんうん、これもよく使うパターンですね。
言われてみればその通りなのですが、
言われてみなければ気づかない言語形式ですね。
日本語教育でこのような表現を取り上げて教えるということを
提案した教科書は、なかったのではないでしょうか。
 
日本語学習者が、会話の流れのいつ、どういうタイミングで
こういう表現を使えばよいかを学ぶことができれば
周囲の人たちと楽しく会話し、
人間関係を築き深めていくのに大いに役に立ちそうです。
 
このように、便利な表現を、会話の流れの中で提示し、
関係の深化に合わせて各課の話題と技術を配置した教材が
今田先生はじめ5人の研究者の先生方の共著書、
 「関係づくりの日本語会話 雑談を学ぼう」↓

雑談を教えるといっても、
何を、どうやって教えたらいいのかって思いますが、
これは画期的な教材ですね。
登場人物どうしの関係が深まるにしたがって、
出てくる話題、会話の流れ、表現などが順に学べるというのは
これまでの教材にない面白い学習順序じゃないでしょうか。
 
ただ、教師自身が雑談の重要性や意義を認識し、
雑談の話題選択や会話展開(流れ)、言語形式などを教えることが
学生にとって役に立つはずだという思いを持っていないと、
この教材を使いこなすことは難しいのではないかとも
感じました。
教師側も、雑談について、そして
関係づくりのための雑談を教えるということについて
自身の考えを深めていく必要があるのかなと感じました。
 
日本語教材「関係づくりの日本語会話 雑談を学ぼう」は
雑談に困っている学生にすぐに役立ち、
困っていない(と思っている)学生も、学ぶうちに
「なるほど、そうなんだ」と徐々にはまっていきそうな
イメージを持ちました。
 
学生にとっては、「あ、(名詞)、~ね」など、
一見すると難しくない表現が取り上げられているので、
学生の中で「何を学ぶのか」について
しっかりした意義づけができるよう
教師と学生の意識合わせが必要かもしれませんね。
 
私が今教えている学生さんたちは0初級なので
雑談はちょっと早いかな?
(…っていうか、雑談の前に「あいうえお」ですね笑)、
とは思いつつ、取り入れられるところはないか
考えてみたいと思いました。
 
次の記事へつづく。↓




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