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雑談についての講演を聞く

雑談を取り入れた日本語会話教育についての
オンライン講演を聞く機会があり、
とても刺激を受けたので、
自分の学びをメモしておきたいと思います。

講師は、今田恵美先生。
大阪大学・大学院で留学生と日本人学生の
コミュニケーションや対人関係構築プロセス、雑談について
ご研究され、博士号(言語文化学)を取得されています。

さて、

雑談とは何か?

というそもそもの疑問について。
雑談は、人間関係を構築・維持することに主眼がおかれた
「交流会話」にあたるというお話が、目から鱗でした。
(そうだったのか~!)

日本語教育で「会話」というと、すぐに思い浮かぶのが、
「誘う」「依頼する」とか「断る」とか、
物事を具体的に処理する目的のある会話だったりしますが、
「雑談」とはそのような具体的な目的のない、
たわいのないものといったイメージ。
それが、「人間関係の構築・維持」という、
非常に大きな意味のある会話だったんだ、
ということが、私にとって大きな驚きでした。
(なんと、雑談超大切じゃん!)

そして、日本語を学ぶ多くの人たちにとって
とても重要なのではないかと思われる
「人間関係を構築・維持」することに着目した会話教育が
日本語教育の中でほとんどといっていいほど
なされていないことにも思いを致しました。
(こ、これは必要なのでは?)

日本語の文法や語彙などを覚えていけば、
雑談は知らないうちに自然にできるようになると
考えられる節もあるようですが、

「具体的な目的のない時に
 何を話せばいいのか分からない~💦」

といった学習者の声もあるようです。
雑談、日本人どうしでも難しかったりしますよね。
ましてや外国語で雑談、
簡単じゃないと感じる学習者がいても不思議ではありません。
(しかし教師の側も、何をどう教えたらいいのか分からない~💦)

そこで今田先生は「関係構築」という観点に着目して
大学の日本人学生と留学生との雑談を時間の経緯を追って分析され、

①相手と自分が共有する立場を利用して話題を選択している
➁ステレオタイプから逸脱した自分の個性について
 自己開示を行っている
以前の会話で知り得た相手についての知識相手との共有体験を
 会話の中に改めて示す
ことで関係を深めていっている

ことなどを発見されました。
これだけ見てもちょっと分かりにくいかもしれませんが、
例えば、
①だと、同じ職場どうし、大阪出身どうし、阪神ファンどうし、とか
➁だと、中国人だけど刺身が大好きで魚の名前にすごく詳しい、とか笑笑
③だと、「こないだのあれ、どうなった?」
みたいな感じでしょうか。
(私の勝手な解釈です笑)

どれも言われてみれば、確かに
雑談ってそんな感じだと盛り上がるよね~、
と思い当たることがありますが、
特に③番、過去の会話の積み重ねがあって今がある、
相手が過去に言った話に再び触れることで
相手に興味・関心を持っていることを示すとともに、
そこからさらに関係を深める会話の糸口になると感じ、
なるほどと思いました。
雑談、深いですね!

今田先生は、関係構築のための雑談を教えるうえで
通時的な視点を欠かしてはならないということをおっしゃっています。
こういった時間軸の視点も、
これまで言われてこなかったことではないかと思います。

もっと詳しく知りたい方は『対人関係構築プロセスの会話分析』
(今田恵美、2015)をどうぞ(笑)↓


↓次の記事へつづく。

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