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万年筆の魅力 その3 インクの「のり」

万年筆の字を特徴付けるものの一つが「インクのムラ」です。

水性ボールペンやゲルインキのボールペンにも同じ事がいえますが、万年筆は、特別なインクを使用しない限り、水性のインクを使って書くことになります。水性である以上、吸水性の高い紙、上質紙、コピー用紙、和紙など、書く対象によってインクの「乗り方」が変わってきます。例えば下の画像のように、インクが濃くたまったところに水彩画のような色ムラがが生じてきます。

「合」の右払いや、「が」の濁点に色の濃い部分ができています。全ての文字にムラが見えます。

写真を拡大してみましょう。

基本的に運筆速度が低速のところや、いったん止めるところ、速度が低下するところでインクが停滞しがちなのでインクが濃く見えるようになります。

上の写真でいうと、特に3画目の点、9画目の左払いの起筆にインク溜まりのムラが見えると思います。ちょっと意識して慎重になったところで、ペンがちょっと止まったところでインクが溜まってしまった、という部分です。

そう考えると、「合う」のところでの濃淡もかなり顕著なので、その時の書いている姿や意識をトレースすることができます。

こういうところが、万年筆特有の表現となり、なんともいえない魅力に思えます。

ちなみに書写に使った紙は百均で購入したものですが、やはり紙の質は上等とは言えませんが、それだからこそ意図せず表現されてしまうインク溜まりムラやにじみというものもあるので、一概に良し悪しを断言することができません。

とは言いましても、、、下の画像は、どこのコンビニでも入手できるような便箋です。粗末なものでもなく、上品ですが高級品でもない、至って平均的な普通の品質の紙です。

払いや起筆を見ていただけるとおわかりかと思いますが、百均の紙に書いたものと比較して、結構繊細な表現になっているように感じます。

紙の表面も非常に滑らかです。
紙も重要ですね。

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