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化学の超戦略的・効率的勉強法

第0章 初めに


化学は英語と並んで理系にとって一番の安定教科となることも多い超重要教科です。また、数学・物理は”量をやってもできるようにならない”と言い、伸び悩む受験生が多い中で化学は比較的量をやれば伸ばすことができます。
ではどのように量を重ねればいいのか?どの時期にやるのが効率的なのか?逆に量だけではなく質も大事となってくる分野はどこなのか?
このような疑問は化学の全体概観をわかっていなければアンサーを出すことができません。
この記事では、セミナー等の傍用問題集を一切解いたことがない状態(定期テストも含めて)から実際に一ヶ月半で偏差値75近くまで伸ばし、その後も着々と伸ばしていった僕自身の体験も踏まえながら受験化学の全体概観、理論、無機、有機の効率の良い勉強法を書かせていただきます。

第1章  受験化学の全体概観


まず、理科で高得点を取るために最も化学で重要になってくるのはなんだと思いますか?
それは処理速度です。多くの大学では、理科として化学ともう1つの教科が一括りにされて行われます。また、化学は0章でも述べたように努力教科です。化学をある程度高いレベルまで持っていけた人は、多くの場合時間をかければほとんどの問題は解けるようになっています。しかしながら、化学は時間が足りないことがほとんどです。また、仮に終わらせられたとしても、もう一方の教科にどれだけ時間を回せるかも化学をどれだけ早く終わらせられるかによって変わってきます。
そのために、化学は暗記・理解・演習をそれぞれバランスよくやることが大事になってきます。しかしながら、効率よく点を取るには全てを等しくやればいいというわけではなく(もちろん時間がある人は全て高いレベルまで持って行けると良いと思います)自身が受ける大学の問題に応じて演習に比重を置くべきなのか?理解に演習を置くべきなのか?変わってきます。以下、どちらに重点を置くべきなのか大きく二つに分けて大まかな方針を述べさせていただきます。しかしながら、どちらも大事なので両方の視点から化学概論を読んでください。


演習重視型(8割型の大学の問題がこちら)


ほとんどの国公立大学、私立大学がこちらに分類できます。化学が数学や物理などの教科と最も異なる点は、”典型問題がほとんど同じ問題設定”で出てくることです。つまり、試験に出てくる問題の多くは皆さんが使う問題集で解いたことあるような問題が出てくると言うことです。そのため、正直”そこまで完璧に理解していなくても”やった事ある問題を完璧にして行けば受験化学ではかなり高得点を望むことができます。そのため、化学で効率良く高得点を取るためには自分かやった事ある問題を確実に解けるようにしておくための勉強が大切となってきます。
(ただ、これ読んで理解しなくていいーんかとか思わないでくださいね。最低限の理解は(陽イオン化傾向とか覚えた上でどっちが酸化しやすいか分かるとか)絶対絶対に必要なので)

理解重視型


ほとんどの大学で似たような問題が出ると言っても例外はあります。それは東大、京大などのいわゆる超難関大学や、京都府立医科大学や滋賀医科大学などの単科医科大学です。このような大学は一見すると経験したこともないような問題出てきます。このような大学の化学の問題では問題文が2ページ近くに渡って書かれているなんてことも珍しくはありません。以上のような大学の問題はただ典型問題を出来るようになっていても戦えないことがほとんどです。しかしながら、しっかりと一つ一つの分野を理解して、そのような問題を解く上で有利となる背景知識を入れることが出来れば一見難解な問題でも解くことはもちろん、冒頭で述べたように高い処理速度で解き進めることができます。

皆さん、入試問題で点を取るには?という視点から見た時の化学の全体概観を何となくわかってきたでしょうか?

皆さんに注意して欲しいのは化学は”暗記の方が効率がいい面が少なからずある”ということです。物理などは基本的に全ての法則が高校数学ちょい+αくらいで導出し、本質を掴むことが出来、さらにその本質を用いて多くの物理現象の理解が出来るようになります。しかし、化学は物性の話などもあるため少ない基本原理で全ての化学現象は出来ません。また、応用してわかるということもある訳ではありません。化学現象を説明するには物質の特性であったり、電子、分子の運動など様々な事柄を考えなければならないことが多いため結局”覚えた方が早いやん”となることや”事実として(もしくは特性として)して覚えておかなければならないこと”が多々あります。そのため、化学は初っ端から完全に理解しに行こうという精神で臨むのではなく、演習して解説を見て分からないor気になったら深堀していくというスタイルがいいのでは?と思います、、!!

それでは第2章では全体の分野に通じる基本方針に加え理論・無機・有機分野に分けてそれぞれの分野の特徴を考慮しながら暗記面、演習面、理解面の事も考慮しながら効率的な勉強法に関して述べさせてもらおうと思います。

第2章 全分野の基本方針とそれぞれの分野の勉強方針


全体の分野における基本方針


まず、第1章で述べさせたもらったように化学の入試問題は、ほとんどの大学では1度は経験したことあるような問題です。そのため、まず全体方針としては
演習重視で解ける問題を完璧にする⇒理解分野を確実に取れるようにする⇒理解分野の迅速な処理をできるようにする
の3段階を意識しながら順々or並行しつつ勉強していきましょう。

*時間がある人以外は順々にやっていくことをオススメします。というのは化学は第1章でも述べたように”覚えた方が早いやん”となることや”事実として(もしくは特性として)して覚えておかなければならないこと”が多々ある教科です。

また、先述させてもらったように大学入試の化学はほとんどの問題が一度問題集でやったことあるような問題が出てきます。このような教科のを勉強する時に大事になってくるのが”他の人と差をつけられないようにする”ことです。は?そんなん当たり前やんと思うかもしれないのですがではこれをどのように具体的に実現するかというと
”多くの受験生が仕上げてくるであろう問題集をやる”
ことです。
そして、大学受験化学において多くの受験生が仕上げてくるであろう問題集とはみなさんおなじみ重要問題集です。重要問題集にを完璧にしていても解けない問題は、同じく重要問題集をある程度仕上げている多くの受験生は解けないことが多いです。一方で少しマイナーな問題集をやっていてその問題集には乗っているが、重要問題集には乗っていない問題をはそのマイナーな問題集をしている人は少数で重要をやっていた他数学の人は解けていないので結局そこまで差につながりません。そのため、化学は”王道”を突き進むのが戦略的な受験勉強であると思います。
そして、最後にもう1つ。化学は短期集中で重問レベルまで終わらせるべきです。化学のように割と暗記が多く、また演習をすれば点を取れるようになる教科では1度に覚えきることが大事です。そのため、化学に多く時間を取れる時(多くの人が夏休みだと思います)に2週間で理論分野を3周、それぞれ1週間で無機・有機を3周するといったようにできるといいです。このように短期集中でやることによって、処理速度も上がります。
もし皆さんの中に、いやけどそんな短期集中でやったら他の教科の勉強が〜と思う人がいるかもしれません。
そこのあなた、考え方が逆です。化学を短期集中出来るように他の教科の勉強を他の時期にしっかりやっておきましょう。確かに教科毎のバランスも大事ですが全体概論で述べたように時には戦略的にバランスを崩すことも大事です。怖いと思い不安になる気持ちもあると思いますが、ここで1歩踏み出すことが死ぬほど大事です。
では次からそれぞれの分野に分けて問題集の回し方など具体的な勉強方針について述べさせてもらいます。

多くの受験生がやっている問題集でセミナーを挙げなかったのには理由があります。おそらく受験生が1番やったことあるのはセミナー化学ではないでしょうか?しかしながら、セミナー化学のみで受験を終わらせる人は少数というのとそもそもセミナー化学は1028題というその問題数の多さから結局中途半端に終わることが多い問題集です。そのため、そもそもセミナー化学を仕上げられる人自体が少ないのです。また、処理速度命である化学は解けた問題もある程度解法を把握した上で再度解き直すことが重要です。しかし、1028題もあったら当然回せる数も減ります。そのため、後ほども述べますが効率的な勉強という面からはセミナー化学は僕はお勧めしません(もう少し言及すると、セミナー化学は問題数が多くなおかつ汎用問題集であるため、教科書の内容に準拠しています。そのため、共通試験対策などにはいいのですが、やはりそれでも問題数が多すぎます。基本的には重要問題集で二次力を高めつつ、共通試験用の問題集を1冊回して抜けがある分野を教科書やセミナーなどで補強するという使い方が1番良いと思います。)


理論


理論分野は理解!と一緒くたにしていませんか?そんな理論分野の中でもほとんど決まったテーマしか出てこないためモデルごと常識にしてしまった方がいい分野(もちろん理解した上でなのですが)とやはりしっかりと理解して解き進めた方がいい分野の2種類あります。このように理論分野の中では理解が中心となる分野とそもそも入試問題として出てくるモデルがほぼ決まっているものが多いため(銅の精錬や中和滴定などなど)モデルごと常識にしてしまって演習重視にした方がいい分野に分けられます。そのため、この理論分野の勉強法では二つに分けて述べさせてもらおうと思います。

*この大きく大別する作業は実際に自分でやってみて分けるのが一番いいと思います。分ける際の基準としては、直前にその問題を解いたことがどれだけアドバンテージになりうるかor出題パターンが決まっているかを自分の中で判断して分けてみてください(実際、僕の生徒にはここの分け方を問題単位でして効率よく化学をやってもらっています)。


理解優先分野
熱化学や化学・電離平衡、溶解度などが主に理解優先となります。この分野の問題は何種類かの解き方のパターンはあるもののどれを使うかの判断であったりと思考力を問われる問題が多く出題されます。どの分野も基本的に覚えることは少ないのですが、それゆえに理解の重要度が高くなります。この分野は量というより質を重視するべきなのに加えて、自身が理解してるかも確認するために少し高めの問題集(解説の詳しさ的にも新演習が無難かなと)にも手を出すべきです。そのため、基本的には短期集中出来る夏に化学は集中して勉強するべきなのですが、理解分野に関しては夏前までに重問レベルまで終わらせておき夏休みは新演習等で高難易度の演習を詰むことによって基本が理解出来ているかを確認し、夏明けから東大や京大等の過去問に入れると理想的な勉強のペースとなります。

(僕はこの理解が必要となる分野のみは化学の本質的な事を教えてくれる授業を受けることをオススメします。仮に自分が理解しているつもりでも、受けましょう。もし仮に受けて自身の理解が間違っていなかったらそのまま突き進めばいいし、間違っていたら修正できるので受けるデメリットは少ないと思います(この分野を中心に受けるとしたらそこまで時間はかからないため)。この際に、理論全ての授業を受けると時間がかかってしまうので駿台の夏期講習の化学特講Iを受けるべきです。化学で塾に行っていない人こそほど行きましょう。テキスト、授業共にとても完成度が高く絶対に受ける価値があります。しかし、もし金銭的理由やアクセス等の理由から受けるのが渋いという人は駿台文庫の原点からの化学シリーズの理論でこの分野の本質をつかみに行きましょう。しかし、あくまでも化学特講Iを受けれない人用の代替案なので基本は化学特講Iを受けるべきです。)

演習重視分野
こちらは先程述べた理解重視分野とは反対に、モデルごと理解した上で覚えてしまう(常識にしてしまう)ことによって処理速度や正確性が格段にあがります。例えば、結晶格子の分野であったら限界イオン半径比や充填率や密度などはほぼ決まった値しか出ませんし、中和滴定であったらメインの3種類に加えて逆滴定、酸化還元であったらヨウ素滴定は2種類、それに加えてCODやDO、電気化学であったら銅の精錬やイオン交換膜法、リチウム電池やニッケルカドミウム電池などほぼ決まった方法や考え方の問題が出てきます。これは実際に使われている製法や存在する物質が限られているため全く同じ問題設定(モデル)となることが極めて多いからです。もちろん難しい問題に関しては見たこともないような物質や設定になるのですが、元のモデルを常識としていれば容易く帰着できます。また、化学の処理速度を上げるためには1つ上のレベルから問題を見ることが重要になります。以上のことから有効な勉強法としては、まずは基本分野の暗記、理解をした後、重問レベルの問題集を短期集中で回しましょう。その後、新演習等で見たことないモデルの問題を解き、解法を整理しましょう(ヨウ素滴定であったらヨードメトリーとヨージメトリーの2種類とかであったり、そもそもCOD滴定とはどういった滴定なのか?など、化学は問題文中で滴定方法などの説明等が書かれていることはよくあります。しかし、その場で理解してとくと処理速度は相当落ちることに加え問題の見通しも非常に悪くなります)。モデル毎の解法を整理することによって、問題の見通しが相当良くなります。それによって処理速度も格段に上がるので演習重視分野に関してはとにかくモデルを”常識”にすることを意識しましょう。
また、この演習重視分野は正直覚えていれば同じ問題が出る確率が高いです。そのため、直前期にコスパ良く化学の点数を上げるためにもこの分野のモデルを整理するのは、死ぬほど大事です。

※僕がよく使う”常識”にするという表現は、理解した上で覚えてしまって自分の中で当たり前の事としてしまうことをイメージしてます。人によっては暗記という人もいるかもしれません。しかし、受験においてただ暗記に走るのと理解した上で暗記し、当たり前の事柄としてしまうのでは似ているようで雲泥の差が生まれるのでこの表現を使わせてもらっています。

(僕がどのレベルまで常識にしていたかというと、それぞれのモデルの解法をまとめるのはもちろん、速度の式の微分方程式や活性化エネルギーの導出、気体定数R=8.31の掛け算、ダイヤモンドの密度やそれぞれの物質の限界半径比、充填率、高分子化合物の分子量など具体的な値まで覚えていました。これは時間が有り余ってる人だけでいいと思うのですがこれを常識にしておくと計算ミスを減らせたり処理速度を早くできます。)


無機


無機化学は難しい問題になるとほぼ理論分野チックの融合問題になります。一方で多くの大学で出てくるような標準的な無機問題は”覚えていれば解ける”問題がほとんどです。ほかの分野よりも暗記要素がかなり色濃くなる無機分野の問題は問題集の扱い方に注意しなければなりません。というのも重要問題集などの多くの問題集で無機分野はどうしても穴があるため、自分の中でこれを覚えたら一通り無機は大丈夫なはず!!というベースを作ってそれを完全に覚えて問題集での演習をすることでできるようになっているから確認するべきです。もし出来ない問題があった場合そもそもベースに穴があったのか?もしくはベースにはしっかり書いてあるのだが自分が記憶出来ていなかっただけなのか?を判断しましょう。もしベースに書いていないようであればベースを変えるべきなのかそれとも重箱の隅をつつくようなマニアックな問題なのか考えるべきです。
無機分野の勉強ではこれを完璧にすれば大丈夫!!!!というベースの確立が何よりも大事です。
また、僕はこのベースとなるものを”doシリーズ 福間の無機化学+東進化学一問一答無機+資料集(補助として)”で行うことをオススメしてます(学校が信頼できるという人は学校のプリントとかでもいいかもしれません)。福間の無機化学は理論的な部分も多く書いてあることに加え化学反応式がコンパクトにまとまっている小冊子も着いてきます。さらには分量も大して多くないので最もバランスが良いと思います(注意点としては小冊子は基本的な知識中心となっているため本冊の問題も完璧にするべき点)。一方で東進の無機化学一問一答は反応のまとまりがよく、語呂合わせなどが地味に豊富であるため、doシリーズを一通り覚えた後に違う視点から化学を覚え直すという意味で優秀です。そして、最後の資料集ですが、これは工場での気体や金属での製法を具体的な流れと共に整理するために有効です。
そして、ベース(上の例だったら福間の無機化学)を決めたら全体方針でも述べたように短期集中でベースを1度覚えきりましょう(1週間以内が理想)。その後、維持をしつつ+αで新研究や新演習の細かい知識や難しめの論述問題、酸化還元の難しい反応を時間があったら入れていきましょう。
(ちなみにこのベースを決めるのはtaskを明確にする点からも重要です)

有機


有機分野は最も得点源となりうる分野です。東大化学でも有機分野で八割近く得点しほかの分野でできるだけ多く点を取れるように勉強するのが戦略とされてます。脂肪族+芳香族と高分子化合物で勉強の方針が変わってくるので以下脂肪族芳香族とで分けさせてのべさせてもらいます。
脂肪族+芳香族
この中でもさらに大きく3つに分けられます。

一つ目は実験問題・製法・油脂せっけんなどです。

この分野は暗記したことが点数に直結します。この分野に関しては無機化学と同様に勉強するのが良きでしょう。


二つ目は構造決定です。

これが脂肪族・芳香族の1番メインの問題です。というか有機分野の7割の問題が構造決定と言っても過言では無いと思います。また、構造決定はある程度演習を積み重ねれば確実に点数を取れるようになります。しかし、構造決定は演習重視の勉強法と基本的に同じ要領でやれば確実に力になります。そのため、もし基本的な反応を覚えてなかったり全く構造決定の問題に触れたことがない場合はまず基本的な参考書(コンパクトにまとまっているという意味で鎌田のdoシリーズ有機をオススメします)を1日1周3日連続でやったあと残り5日で重要問題集を3周程度してみてください。驚くほどできるようになってます。ほとんどの大学はこれで構造決定の問題はほとんどできるようになっていますが、さらに難しい問題が出る大学(東大や横市、東北)などの大学を受ける場合は、ここの大学を過去問を解いて演習を進めるのがいいと思います(構造決定に関しては新演習は問題数が多い上に1問1問相当時間がかかるのでコスパ的にあまりオススメしません)。


そして、3つ目はフィッシャー投影式やニューロン投影式を用いた立体配座の問題やポテンシャルエネルギー図、光学異性体の高難易度の問題、等思考力を必要とする問題です。

この分野は理論の演習重視分野と同じく予め理解した、モデルを常識にした上で試験に臨めるようにしましょう。しかし、多くの人が聞き覚えがないようにあまりメジャーな内容ではありません(東大模試とかだとよく出ますね)。そのため、自分が受けそうな大学で出そうであるか出なそうであるかを判断した上で勉強するというのが1番いいと思います。

(有機分野となると電子論を用いた理解をする方法もあると思いますが、僕はあまりオススメしていません。というのは構造決定に出てくるような反応パターンは難しいものを含めても10数パターンしかないですし、じゃあ電子論を理解したからといって自分で反応式を作れるようになる訳でもありません(ほとんどは)。冒頭でも述べたように化学は高校物理(古典物理学)と違って自分で全ての原理・本質を理解するというのはそもそも化学現象が難しすぎてほぼ不可能あるいはコスパ× です。そのため、しっかりと理解・暗記の使い分けをして勉強に臨みましょう。)

高分子化合物

高分子化合物は暗記した上での計算がメインとし、それに加えて知識問題や論述問題、理論との融合問題、構造決定や異性体の話などが出てきます。後者に関しては、基本事項を理解出来ていれば問題なく出来るため、演習重視分野や無機分野と同じような勉強方針で大丈夫なのですが、そもそも基本事項を理解する点で詰まる人が一定数います。そのため、基本事項を理解・暗記する際に注意しなければならないことを述べさせて頂きます。まずは、丸暗記に徹しないようにしましょう。糖であったら、グルコースを覚え、基準として何位の原子が違うか?や二糖であったら何位と何位の原子が結合するかなどを共通点を見つけながら要領よく覚えて行く必要があります。また、基本事項を覚える際に基本的な論述問題も覚えておくと理解に役立ちます。その後は、問題に応じてほかの分野と同様に勉強しましょう(基本は演習重視で大丈夫ですが)。

では以上を踏まえた上でオススメの勉強の順序をメリット・デメリットを述べながら書いていこうと思います。個々人の状況によってどれがベストかは変わってくるので、メリット・デメリットを見ながら自身にとって1番合っていそうな順序を選んでください。

第3章 勉強の順序とそれぞれのメリットデメリット


第1章、第2章から化学の全体観やどのように勉強すればいいかをある程度分かってきたと思います。ではそれを踏まえた上で理論、無機、有機をどの順番で勉強すればいいのかそれぞれのメリットとデメリットを挙げながら述べさせてもらいます。

理論→無機→有機(有機→無機でも可)
メリット
最もオーソドックスな順番ですね。多くの人がこの順番でやると思います。この順番の中で理解重視か暗記重視かを把握した上で勉強出来るとベストです。また、全教科の全体概論でも述べたように理解重視の勉強を先にやり、目処がたった後に暗記型の勉強を後する方が戦略的・効率的と言えます。基本的に化学がめちゃくちゃ苦手では無い限りこの順番で進めるのが無機、有機において理論で学んだ原理等を用いて覚えられるため効率が最もいいです。順番やスケジュール観としては、
夏前まで 理解重視分野+ほかの分野の理論の基本的な知識の暗記、事柄の理解  
→夏休み 演習重視分野と無機、有機を短期集中(重問レベルを完璧に解けるくらいのレベル)に加え、理解分野の本質の理解(そのための+αの演習)
→秋以降 モデル・解法の整理+理解重視分野の過去問演習などによる完成
→センター前 センター演習による基本の再確認+無機・有機の知識の総確認+整理
→直前期 演習重視分野の総復習+総合演習

という順序でやるのが受験化学で高得点を取るという面では理論上最短効率です(もちろん大学の問題形式にもよりますが、難関大の多くはこの方針が最短効率だと思います)。
また、有機→無機でやるメリットとしては無機分野が理論との融合問題であったりほぼ出ない大学を受ける場合、確実に取れる有機に時間を多く割くことができるため戦略的です。

デメリット
たまに化学がめちゃくちゃ苦手という人がいます。もう苦手というか嫌いですね。そのような人は大抵の場合、理論(特に理解重視分野で詰まってる人)分野で訳分からんとなる人やそもそも化学反応式や物質に親しみを持てないために起こることが多いです。そのデメリットをカバーするための順番が下の順番です。


無機→有機脂肪族芳香族→理論→有機 高分子化合物(無機→理論→有機)
メリット

上記でも述べたように化学反応式や物質に親しみが持てないことや理論分野に詰まって化学を嫌いになってしまった人にとっては、
・覚えれば点数を取れるため化学に対する苦手意識を消せる
・化学反応式や物質に対して親しみを持てる
・無機分野などで理解しなければならない理論は比較的簡単であるためこのことからも苦手意識を消せる
などのメリットがあります。勉強のスケジュール観としては、やはり初めにやる無機・有機脂肪族芳香族は短期集中してやることが大事であるため
短期集中してできる時(おそらく夏休みor早ければ高二春休み)に仕上げたあと夏休みに集中的に化学をやり、上の勉強法のスケジュールへ間に合わせるように勉強してください。
ちなみに、高分子を後に回すのは学校で習っていないことが多いことや、分子量が大きいため複雑でさらに化学を嫌いになりかねないこと、また高分子には緩衝液等の理解重視の理論も登場するためです。

デメリット
上のデメリットでもあげたように理論無機有機の順で勉強する方法を仮に効率型とでもいえば、無機有機理論の順にやるのはモチベイト型という感じで効率は劣ります。

第4章 終わりに


化学は理系受験において最も武器となりうる科目です。物理数学が苦手な人が化学で取りに行かないと行けないのはもちろん、物理数学が得意な人でも化学を安定させられるか安定させられないかで入試難易度はかなり変わります。そのため、何がなんでも化学は得意教科もしくは合格者平均位は取れるようにしましょう!!!!
化学を得意教科にして皆さんが受験においてアドバンテージを取る事へ少しでも貢献出来たら幸いです!!!!

もしこの記事に納得できたという人は、全教科の超戦略的・効率的な勉強法についても見てみてください!!!!


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