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幻の公演プログラム ラオ・ハオ ショパン・リサイタル ① 動画メッセージ付き


 第18回ショパンコンクール(2021年)ファイナリストとして、多くのファンを魅了した天才少年ラオ・ハオさんの、幻と化した来日公演。


ラオ・ハオさんから届いた、大阪公演に向けての動画メッセージ♪


 我が国のコロナ対策下で滞在許可が得られず、公演は全て中止となってしまいましたが、大阪公演のプログラム解説文は、主催の日本演奏家支援協会の依頼を受け、既に用意してありましたので、以下、ご紹介致します。

 ショパン自身や、ショパンの音楽そのものだけでなく、
「自分の魂の内にあるショパンが、どういう存在であるかを表現したい」と語るラオ・ハオさん厳選のプログラム構成、演奏会を企画された主催者の熱意などにも思いを馳せて頂けましたら幸いです。


♪♪♪ All Chopin Recital Program Note ♪♪♪



ショパン ~ 花園に潜む大砲の精神 ~


「もしも北方の専制君主がショパンの曲の中に──シンプルなマズルカの中にさえ──、到底手に負えない危険な敵が潜んでいることを知り得たならば、彼は音楽そのものを禁じたであろう。ショパンの音楽は、美しい花の中に隠された大砲なのだ」

 これはショパンと同時代の作曲家であり、批評家としても活躍していたローベルト・シューマンが自ら編集していた音楽雑誌でショパンを語った紹介文である。

 しっとりしたノクターンや、優美にして華麗なワルツなどから「ピアノの詩人」とも詠われるショパンだが、その心情は、若くして祖国ポーランドを遠く離れ、同胞らが命をかけて戦っている中、二度と故郷に帰れず、家族や恩師、親しい友人たちにも永遠に会えないのではないかという不安や、望郷の念に生涯支配され続けていた。

 そんなショパンにとっての音楽表現は、文学や自然の描写などよりも、遠い祖国や愛する人たちへの、もはや決して手にすることのできない遙かな想いが根底に流れているのであった。



(各曲の解説は ② に続く)


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