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広がりゆく世界に

子どもが夜泣きそうな顔をした。
それだけで次の日、仕事中も思い出しては胸が痛い。

大好きなお友達と遊べなかったから悲しかったようで。
これから、こんなことたくさんあるんだろうな。
その内、自分で自分を満足させられるようにもなるんだけど、それまではまだまだ時間がいるんだよね。

かくして、わたしは知ったのです。

この子の世界が、おうちの外におおきなおおきな広がりを持ったこと。
それは、「お母さん」には力になれない圧倒的な試練をはらんでいるということ。
こんな当然なことに今さら動揺するなんでばかげている。
ばかけでいるが、胸の痛みはふかくなるばかり。

あなたの思うように世界は、他人は動かない。

それはあなたを愛する人も、あなたを愛することがない人も同じ。

あなたを愛するがゆえに、あなたの思いを汲み取ることをあえてしない人もいる。
それは、あなたを導くためであったり、
あなたと一緒に生きていくのに必要な距離を保つためであったりして、
あなたの思いに沿うてあげてばかりは、いられないから。
「あなた」以外の人の思いだって、犠牲になってはいけない大切なものなんです。

ただ、「あなた」を考えないから、あなたの思いを汲み取らない人もいる。

これからあなたが出会う人は、単純に数だけ見れば後者が多い。
人は「あなた」だけを見てはいないから。
そんな当然のことが、どうしようもなく切なく思える日もあるだろう。

だからこそ、どうか、せめて見極める目を持ってくれますように。
あなたが大切にしなければならない人を、見誤らぬ力をつけていけますように。

あなたとたくさんの時間を過ごす人は、
あなたを愛し、あなたが愛す人であってほしいものだ。

4才の娘に、それを理解してもらうのはあまりに望みすぎだとわかってはいても、
今つらい顔をしている娘をみると、どうにも早い成長を願ってしまう。

そんなことを願うのは、今私が、私の人生の中で最も疑いようのない
しあわせの中にいるからかもしれない。
こんな、強い気持ちで誰かの幸せを願ったことがあっただろうか。

わたしは、あなたが、あなたたちが、そばにいてくれる
それだけでもう、圧倒的にしあわせ。
こんなぬくもりも、愛おしさも知らなかったから。

あなたたちが私のところに来てくれたことで、
私は人を憎らしく思わなくなったんだよねえ。

皆んな、いつかは子どもだったのだと、この人にも親がいるのだと、
親になって、親にしてもらって、
そのことの大きさにようやく心の底から気づけたんです。
どんなに感謝しても足りないくらい。
世界が一気に優しくなるような気づきをくれた。
何でもないことがしあわせだと、深く深く感じられるようになったおかげで、
私は毎朝毎夜、しあわせを感じることができる。

あなたが、私のそばでともに時間を過ごしてくれるから
どんなにつらい時間をすごしても、
すぐに「しあわせ」を思い出すことができる。

広がりゆく世界の中には、
4歳のあなたにも
33歳の私にもどうしようもない厳しさがある。

厳しさに打ちのめされたときは、
どうかお家であたたまって。心と体を元気にして。

また広がりゆく世界に、「いってきます。」
いつでもお家には「おかえりなさい。」が待っていますよ。

ただただ、目に映るすべてにやさしくしたい。
そんな気持ちになった夜なのでした。


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