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しゃべるのが苦手な人のための職場の雑談入門 8.より高度な応用


相手の立場で考える

あなたが40代の課長と何を話せばいいか困っているように、同じように課長もあなたとの雑談の内容に困っていないか、と考えてみよう。
下手なことを聞けばハラスメントともとられかねない昨今、上司たる自分のほうが会話の糸口を探さなければと思っているのに、何を話題にすれば、あなたに不快に思われずに会話ができるだろうかと課長は頭を悩ませていないだろうか。

あるいは新入社員がちょこんと所在無げに座っていているときや、他事務所に出張やってき初対面の部署員と対面したとき、相手が話しかけるのにちょっとハードルを感じていないだろうか。
そんな初対面に近いタイミングでこちらから何の障壁もないかのように話しかけられるようになると、相手にとってもありがたいし相手から「この人は話しかけていいんだ」という印象を抱いてもらいやすい。

自分が困っているときは相手も困っている。そこでこちらから打開を持ちかけることができれば、一つ上のコミュニケーション能力になる。

ギブ・アンド・テイク

良く話しかける人は良く話しかけられやすいし、相手のちょっとした依頼を引き受ければこちらのちょっとした業務も相手は引き受けてくれやすくなる。
なにごともギブ・アンド・テイクである。相手からの依頼は自分のできる範囲でこころよく引き受けよう。

人間という生き物はやってもらった恩義はすぐに忘れてしまうくせに自分が施した恩義は絶対に忘れない。
主観的にはギブ・アンド・ギブくらいの精神で客観的にギブ・アンド・テイクの関係になっているだろう。

貸し/借りの関係がそのまま相手との関係に繋がることを理解すれば、少し高度だがギブ・アンド・テイクの関係を逆手にとって、戦略的に貸し借りを作っていくことで相手との関係性をつくることもできるだろう。

人によって態度を変えない

円滑な業務のために必要なのは、さまざまな人と広く話ができるようになることだ。たびたび繰り返し主張しているが特定の人たちとの交流ばかりに集中してしまい派閥になってしまわないように気を付ける。

また、人によって態度を変えるようなことも慎もう。
難しいことだが、親しい人でも、はじめて会う人でも、苦手な同僚や怖い上司にでも、できるだけ同じような態度で対応できるようになるスキルは、マネジメントの立場になったときに大いに活きてくる。

ツールを使い分ける

さまざまなコミュニケーションツールがある。
直接顔を合わせる、電話、メール、テレビ会議、チャット、それぞれにメリット・デメリットがあり、職場ごとの何となくのルールや人の好みがある。特定の方法だけに頼るのではなく、目的に応じてうまく使い分けよう。

特に若い年代では電話が忌避される傾向にあるが、細かいやり取りが発生する案件は電話のほうが手っ取り早いことも多い。
使える道具は多いに越したことはない。

相手への敬意を持つ

他者に対する評価やリスペクトがないと、相手からも自分に対する評価やリスペクトされることはない。
できるだけ周りの人の良い点をみつけ評価しよう。年齢・性別・出自・能力・役職その他さまざまな属性に関係なく、すべての人に悩みや困難が存在しそれでも生き抜いている。

 業務の能力だけに限らず、その人の生き方やひととなりそのものに対して敬意を持とう。

敵を作らない

あなたが全員から好かれ人間性と仕事を高く評価されるということはまずない。人には様々な考え方や立場の違いがあり、あなたのことが苦手だったり、快く思わない人も存在する。

それは単に差別や偏見からくる感情かもしれないし、なんとなくウマがあわないという理由かもしれないし、あなたよりも出世が遅れた僻みかもしれないし、昔あなたの仕事のミスの尻拭いをさせられたためかもしれない。

目に余る言動をされるなら周りに相談する必要があるだろうが、嫌われているからといって、あなたに反感を持っている人や評価しない人からの反応をバッサリ切ってよいわけではない。何度も何度も書いているが、職場の人間関係は「業務を円滑に回すこと」が目的だ。

上司同士の中が悪いために間を取り持たないといけない部下、直接会話しないので間に入った人たちの伝言ゲームが必要になり余計に話がこじれてしまった業務、喧嘩を防ぐためわざわざチームを分けた部署といった事例を見たことはないだろうか。
周囲の第三者はこのような対立のために発生した余計な仕事にうんざりしている。
 
相手から嫌われていようが気に食わなかろうが、自分が相手との会話を拒否したり、必要な連絡をしないかったり、敵意を持った言葉を使ったり、いちいち相手の言動に噛みついたりすれば、敵対者以外の周囲の人に余計な仕事や気苦労をさせたうえに信用までも失ってしまうことになる。

対立したときにどちらが悪いかを判断するのは自分でも相手でもなく周囲の第三者だ。相手に勝とうとか相手を負かしてやろうとかいう感情は捨て、周囲の人たちの信頼を失わないような行動を心に命じよう。

スマートなトラブル対処

生きていれば不平等な扱いや理不尽なできごとに出会うことはある。
ハラスメントを受けたり、あるいは自分の行為がハラスメントだと告発されたりすることだってあるだろう。

さらに言えば、社会にはハラスメントとまでは断定できない行為、厳密にはコンプライアンス違反だが見逃されている行為とったグレーゾーンであふれている。
このような行為の被害者になったり、しわ寄せがやってきたときに、大事に至る前に処理できるスマートさ、あるいは自分が悪いと感じたらしっかりと謝罪できる心の強さを持とう。
 
感情的な相手に対して冷静に対応したり、間違いを認められることは一時的にはつらいことだが、長期的には周囲の人はあなたを評価するだろう。

まとめ

以上、雑談の仕方に関する考え方を述べてきた。
あくまで私の個人的な体験や考えに過ぎない。ここで読んだことが参考になれば参考にして、参考にならなければ別のビジネス書なりを読んで、自分の職場にあったやり方を自分で構築していこう。

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