ほんのりおめかしした日常を、探しに行こう。
「いつもの風景」がさくら色に色づくこの季節は楽しい。毎日目の端に映っている景色は、さし色ひとつでここまで変わるのだなあ、と神秘すら感じる。
そんな感じなので、私は昔から、桜を見るためにどこか名所へ行こう、というよりは、近所の桜綺麗スポットを見つけて「こんなところにも!」と楽しむ派である。
そのおかげで、変わらず桜の季節を楽しめている。
3月最後の2人とも家にいる火曜日。
今日はお花見と決めていた。私は昼まで仕事して、午後をお休みにして急いで家に帰る。
ないしょのお弁当は、こっそり電話して予約しておいた、お気に入りのお寿司屋さんのお気に入りの太巻きだ。
「ただいま!!これなーーーんだ!!」
「なんだお姉ちゃんか。ちょっと服着るから待って。」
なんで着てないんだよ。
準備して待ってろって言ったろ。
巻き寿司はとても喜んでもらえました。
なんだかんだ準備に30分はかかった妹とともに、自転車で町へ繰り出す。
鞄の中には、グローブとボール、しゃぼん玉。水筒とシート。
家の近くを流れる川を挟むように咲く桜の木の下に腰掛けてミニピクニック。
強めの風に吹かれて、ときどき桜吹雪が隣を吹き抜けていく。雨のようにさくら色が降る。
この辺は本当に桜の木が多くて、6階の私の仕事場まで、風に吹き上げられた桜が舞うことがあるくらいなのだ。
近くに公園があるんだけど、人いなかったらブランコ乗ろうと思ったらわりとみんな遊んでいる。
そうか、もう春休みか。
それならと場所を変えて、穴場の原っぱへ。
心ゆくまで楽しんだ。
久々にこんな体動かした。
その道沿いにもさくらたちは整然と並んでいて、皆こぼれ落ちそうなほどのさくら色を身に纏っている。
遠くに行かなくても、日常にも四季があって、美しいと思うものには出会えるのだなあと思う。
この一年、そういういろんなものに出会った。
ひとまわりしてしまったけれど、桜は今年も変わらずに咲いてくれる。
私たちも、日常を抱きながら、一歩一歩、螺旋をあがっていかなけりゃ。
そんなことを思いながら自転車を走らせる。
桜前線に追いつけとばかりに。
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