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だれかの気配のする昼寝じかん。

音がするのだ。家でひとりでいても。
なんかホラーみたいな導入だがそうじゃない、紛らわしくて申し訳ない。

「満塁ホームランだあ!!」と叫び声が聞こえてきた。その日は阪神巨人戦の日で、私は父譲りのトラびいきだったもので、壁越しに「えっどっちが!?」と張り付いたのはついこの間の話。


我が家は平屋の町屋で、ひとつの番地に7つの家がある。
ひとつの壁でお隣さんと自分の家が仕切られているので、どうしても生活音が聞こえてしまうのだ。

夜中や休みの日にどったんばったん聞こえてきたりすると辟易してしまうし、自分が友人を連れてきたりテレビを遅くまで見てしまった時は罪悪感がある。

でも、これが悪いことばかりじゃなくて、私は案外気に入っているのだ。

今日、やらないといけないことを全部済ませて帰ってきて、あまりに疲れてしまったので昼寝をした。妹は用事で昨日から家を空けている。

目が覚めても全然疲れが取れていなくて、起き上がれずにぼーっとしていたら、隣の家からトントンと包丁を叩く音が聞こえてきた。

もう片方の隣の家からは、テレビの音がする。

おじさんとおばさんの会話も、聞き取れないけれど聞こえてくる。

私はひとりで寝ているのだけれど、人の気配が周りにあった。それはとても不思議な感覚で、心地よかった。ひとりなのに、ひとりじゃない感じ。

疲れているとどうしても寂しくなったり気持ちが落ち込んだりするけれど、この家ならなんとかなるような気がするのだった。

ただ、わたしが毎日のように弾いてるギターはどんな感じに響いているのかはすごく気になる。
あんま遅くまで夢中にならないようにしよっと。

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