麻雀のススメ

趣味は何？という質問は僕を悩ませてきた。人間何かしら趣味があり、得意なことがあるという前提の質問。趣味がない人だっているだろうに、ある種のじわじわとした拷問のように感じていた。

大人になればなるほど趣味を見つけるのは難しくなってくる。

20数年間僕には趣味がなかった。仕事として必要なことをやらなければならないと自分を律しながら生きてきた。そうでなければ生きていけないと思い込んで、その結果特に趣味がなく面白みがない人間になってしまったのだ！

生きていく中で確立したリラックス方法、趣味を持っていない日本人はすくないと感じる。勤勉で真面目であり仕事第一と考える人も多く、作業化された毎日を淡々とこなせてしまう。そうすることができる国民性だと思う。そういう人々を僕は尊敬しているし、自分にできないことを専門としている人を見ると憧れてしまう。

しかしそうであるがゆえに、生活にゆとりがなくなってしまう。

”生きる”ことと”生きのびる”ことは違う

生きのびるには水や食料が必要だ。特にコロナ禍では生きのびることが最重要視される。当然のことであり、生きのびなければ生きることもできない。

生きることとは、人として生まれてどのように人らしく生きるか。誰と共に暮らしたい、週末にはどこに行こうか、自分の信念はこれだ、そうやって自分の人生を作っていくことだ。

日本人は生きのびることに取り憑かれているように感じる。それゆえ生きることを忘れていないだろうか。水や食料がある程度保証されている日本のような国では、どのように”生きる”のか、そのに焦点を当てて考えてみることが大事なのだ。

生きることの一つとして趣味がある。一つ趣味があるだけで心にゆとりが生まれる。料理が好きで、料理しているときは嫌なことを忘れるという友人もいる。アニメが好きで毎期ごとに入れ替わるタイトルに胸を躍らせているやつもいる。

そこで、皆さんにオススメしたい趣味、「麻雀」。

現在の僕は麻雀歴１年も満たない。長年の麻雀愛好家の方には、こんなペーペーが麻雀を語るのをぜひ許していただきたい。初めてと言ってもいいくらいに出会ったこの素晴らしい趣味を紹介したいのだ。

麻雀は中国に起源を持つ、主に４人でテーブルを囲み行うゲームで特に中国、日本で親しまれている。近年では世界大会も行われていたり、日本ではMリーグがテレビが放映されていて、俳優やアイドルなどの芸能人も参加している。

僕が麻雀を知るきっかけになったのが、福本伸行作「アカギ」だ。アニメで放送されていたものを後で動画配信サービスを利用して見た。麻雀を題材にしたアニメだが、最初は言っていることがほとんどわからなかった。それでもなぜか面白かったのだ。そんな微かな興味が心に刻まれていた。

そんなあるとき、役者仲間のある人が麻雀が打てるらしいと知ったのだ。最近では麻雀が打てる若者は貴重な人材だ。趣味と呼べるものがなかった僕は彼に麻雀を教えてくれて頼み込んだのだ。彼は僕の鬱陶しいほどの質問に一つ一つ答えてくれた。周りの人からしたら、いちいち質問して場を止める僕は邪魔だったかも知れない。それでも懇切丁寧に答えてくれた彼と、共に打ってくれた麻雀仲間にはとても感謝している。

それから僕は麻雀にハマっていった。麻雀は、自分と相手の状況、残りの牌などを汲み取った論理的思考力、相手の思考を読み取る心理戦、ある確率から有効牌を引く運、これらが複合的に絡みあっている。これがゲームに絶妙な深みを与えているのだ。これはまるで人生のようだと、駆け出しながらも感じざるを得なかった。

ASMR的な魅力もある。牌が重なった時に生まれるカチカチした音、不要な牌を捨てた時に響く音、点数をやりとりする時に使う点棒を交換する時の音。これらが絶妙に心地いい。YouTubeで検索すれば麻雀のASMRも数多くあるのでぜひ聞いてもらいたい。

付け加えるならもう一つの魅力はコスパにある。多くの雀荘は１時間で１卓1500円程度。４時間やっても2000円以内で収まる。他の娯楽ではこうはいかないことが多い。

麻雀を始めるにあたって大きなハードルは、ルールの複雑性にある。点数の決め方は難しく、覚えるべき役は数十種類ある。そんな僕は絶賛点数計算を覚えている最中なのだ。４人で遊ぶ場合、一人計算ができる人がいれば成立する。役も最初から覚える必要はない。全て覚えなくても十分遊ぶことができるのだ。

コロナ禍では集まって麻雀を打つこともできない。アプリでやる方法もあるが何か違うような気がしてしまう。それは麻雀における楽しさは既出された会話や音、空気感から生み出されるものだと感じているからだ。

趣味がないと悩んでいる人、ぜひ一度麻雀を候補に入れていただきたい。複数人居なければできないがため、僕のような人見知りでも麻雀というツールがあれば友達ができるはずだ。

共に麻雀ライフを楽しもう。