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ユカシカドは、10周年を迎えることができました。

2005年フィリピンのネグロス島で出会った少女の「将来は歌手になりたい」の一言が人生を大きく動かしました。偶然出会った友人、少しの資金、少しの社会経験、そして大きな大きな大志を抱き、2013年にユカシカドはスタートしました。そんなユカシカドの10年間の航海に人生の貴重な時間を捧げてくれた家族、仲間、株主、お客様、パートナー企業、支えてくださった全ての皆様に感謝を込めて振り返ります。


創業前

フィリピンの少女の言葉が原動力へ

2004年に読んでいた書籍「フェアトレード」には、「フェアでない状況の中には、私たち自身がつくり出したか、少なくとも人間の行動によって改められるものも多い」と書かれていました。その事実を確かめるために、お世話になっていた大学教授の勧めで、フィリピンで4番目に大きい島であるネグロス島を訪問。廃棄ガスと焼鳥の煙、そしてドリアンの香りが混じった独特な匂いが漂っていました。現地のコーディネーターの案内でスラム街に入り、子供たちと会話。ほとんどの子供たちは教育を受けておらず、親は働く場所がない。そこで、一際目を輝かせている女の子に将来の夢を尋ねると、「歌手になりたい」と素敵な夢を語ってくれました。しかし、周囲の大人たちの反応は真逆で、希望を持つことすらできない状況。この現状を目の当たりにし、自分ができることが何なのか考えるきっかけを得ました。帰国後、大学の図書館で目にしたMDGsの論文で改めて栄養の重要性を知り、生活環境の改善に対してとてつもない使命感を持ちました。

フィリピンの少女

突然の出会い

大学での部活動引退後、チームメイトである友人宅に入り浸る生活。そこでルームシェアとして同居していた現在の副社長兼CTOと出会いました。全く違う人生を歩んできた彼とは価値観が全く異なり、異質な存在でした。不思議なことにフィリピンでの出来事やお互いの人生観を語り合い、自然と将来一緒に会社を始めることを約束していました。そしてお互い別の会社で社会経験を積み、出会ってから9年後の2013年3月15日にユカシカドを創業いたしました。創業直前には一緒にバングラデシュを訪問、解決すべき世界を共有しユカシカドの大航海が始まりました。

創業初期

受託事業による資金づくり

「アンフェアな環境をフェアする」そのメッセージだけを掲げ、事業計画もなく会社はスタートしました。現在のビジネスモデルは、自分のノートにのみ書き留め、必要資金と技術に目処がたったタイミングで仲間に提案しようと考えていました。事業資金を得るためにも大学の同期が経営するホテルのあらゆるサポートをライスワークとして実施。妻やオイシックス時代の後輩の手も借りて、創業から2ヶ月半後にECモール事業をスタート、5ヶ月半後にはホテルの取引先最適化、8ヶ月後にはポップアップ販売を行い、1年後にはホテルの基幹システムを入れ替えました。その傍ら、本業の準備も少しづつ進め、小さな自社製造工場を作り、現在のサプリメントの初期モデルとなる商品を開発していました。

9畳の小さな倉庫を改装した製造工場


事業開発

オフィスを構えていたビジネスホテルの一室で現在のビジネスモデルである「Personalized Nutrition」構想を経営戦略会議で発表。もしかすると賛同を得られないかもしれないとの思いとは裏腹に、「ええんちゃう」とのあまりにも拍子抜けするかのような軽い反応。静かに事業開発開始の鐘が鳴りました。同時期に求めていた基礎技術を研究されている大学教授と出会いがありました。先生にこれまでの経緯や今後のビジョンを伝えると、これまでアプローチしていた多くの有識者の否定的な意見とは明らかに異なる反応。「今までたくさんの企業から共同研究の依頼があったが、どこも実現できなかった。しかし、お話を聞かせていただいて是非一緒にやりたい。実現しましょう。」とその場でご承諾いただき、栄養の可視化サービスの実現に近づきました。これを機にホテルのサポート業務を終了し、兵庫県から東京都へ本社を移転。事業開発だけに集中することになりました。

事業開始

プロダクトローンチ

測定機器の専門家を顧問として招聘し、一つずつ課題を解決。しかし、いくつかの重要な要素が解決できないまま資金が底をつきかけました。そのタイミングで偶然、社会人1年目のバンカーが飛び込み営業で会社を訪問。意気投合し、融資を依頼。熱心な彼の社内説明もあり、ご融資が決まり開発を延長することが可能になりました。そして専門家の助けを借りながら、解決策を講じた結果、ついに技術開発に成功。検査センターを滋賀県立大学内に設置し、12年間ステルスで事業開発に取り組んできた郵送型栄養検査サービス「VitaNote」をローンチすることができました。従兄弟からLINEで「すごいサービスが出てるよ!知ってる?」との連絡で、「VitaNote」がYahoo!トップニュースに取り上げてもらえてることを把握。予約注文が一気に入り、お客様に支持いただけるプロダクトを作り出せたのかもしれないと胸が躍りました。

景色の変化と新たな課題

プロダクトローンチまでは、会社への問い合わせが月に数件程度。ローンチ後は毎日100件程の問い合わせが入りました。嬉しい悲鳴の裏では創業時期を共にした仲間の1人が船から降りる事を選択。サプライチェーンや検査体制の強化も必要になり、工場建設の準備。スマートフォンアプリ開発の開始など、同時多発的に物事を動かす事が必要になってきました。新しい仲間も増え、仕事の進め方が多様化し、複雑性が増してきました。仲間が船から降りることがほとんどなかった状況から一変して、人の流動性も高まりつつありました。そんな中、新型コロナウイルスによるパラダイムシフトが発生。予定していた資金調達が延期され、工場建設も遅延。しかし、これらのピンチの時には思わぬ形でヒーローが誕生し、見事に解決・推進してくれ、荒波を乗り越えることができました。

大航海は始まったばかり

目指している大陸は、遥か彼方です。しかし、着実に前に進んで行っています。フィリピンでの少女の一言が、こんなにも辛く激しく、そしてエキサイティングな大航海のチャンスを与えてくれました。

  • もし、大学の先生からフィリピン行きを勧められず、少女に出会わなければ、「Personalized Nutrition」という産業は生まれていないかもしれません。

  • もし、友人宅で現在の副社長CTOに出会っていなければ、ファーストペンギンが1匹で暴れていただけかもしれません。

  • もし、共同研究者の先生に出会っていなければ、VitaNoteは存在していないかもしれません。

  • もし、投資家やバンカーに出会えず、また当社に関心を持ってくれなければ会社は存在していないかもしれません。

  • もし、ユカシカドの優秀な社員が仲間になってくれていなければ、様々な局面を乗り越えることができていないかもしれません。

  • もし、家族のサポートがなければ心が折れてハンドルを握れていないかもしれません。

これからもたくさんの荒波を乗り越えないと前には進めません。仲間や家族、支えてくださる皆様と共に進んでいきます。10歳になったユカシカドをこれからもどうぞよろしくお願い致します。

10周年集合写真

一緒に大航海してくれる仲間も募集中です。
https://en-gage.net/yukashikad_recruit/


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