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螺鈿5:螺鈿の貝の種類

おはようございます。
今日は昨日と打って変わって抜けるような青空と強い日差しでベランダの水やりをしているだけで汗をかきそうな初夏らしい朝。

さて、螺鈿に関して、特定の貝がもつこの独特の光沢の真珠層をどのように螺鈿の素材にしていくのか、昨日鮑を例に具体的に見てきた。螺鈿に使う貝は厚さによって厚貝・薄貝に分けられ、厚さ1〜2mmまで削った厚貝と厚みは0.1ミリ以下で裏が軽く透けるほど薄いのが薄貝。
螺鈿に使われる代表的な貝の種類と特徴を今日は見ていきたい。

螺鈿の素材というよりも、美味しくいただいた結果の副産物として位置付けと言ってもいいのかもしれない、鮑。
アワビとはミミガイ科の巻貝の総称。
鮑は夜光貝や蝶貝がほんわりとした色合いなのに比べて特に色味が強い。色漆を使わずに色を表すのに貝の色味で色を表現した作品も多いが、特にそれが顕著に現れるのは鮑の薄貝。下地に黒漆を使えばより一層鮑の真珠層の虹色の輝きがより顕著に楽しめる。
その一方で、独特の黒い線が入っていて真珠層だけで加工して使える場所が少ない(その模様を活かして装飾する場合ももちろんある)。

夜光貝

夜光貝は見た目がサザエにも似た巻貝。螺鈿の「螺」は巻貝を指すことを考えればこちらが主役と言っても過言ではないのかもしれない。
熱帯から亜熱帯域のインド太平洋区に分布し、日本近海では屋久島・種子島以南の暖かい海域で生息するリュウテンサザエ科最大の貝。成体の重さは2㎏を超え、直径15㎝~20㎝ほどに成長するが、夜光貝の成長速度は遅く、稚貝は7㎝になるまでに3年もの月日を要する。日本列島では奄美以南の海でしか採れない夜光貝の貝殻が、古くから日本全土に運ばれ使用された。平安時代の書物に儀式や貴族の生活において器や盃として利用されたと記されており、清少納言の随筆集「枕草子」には、「公卿・殿上人、かはりがはり盃とりては、はてには屋久貝といふ物して飲み立つ」とあり、夜光貝でお酒を飲む光景が記されている。
あまり聞き馴染みはないが、食べられる貝でクックパッド曰く『身は固いのでできるだけ薄造りにしてお刺身で食べればアワビのようです。 薄くカットした身は、さっと短時間でバター炒めをすると熱で身が柔らかくなり美味しく食べれます。』とのことなので、普通に美味しそうだ。

薄貝では鮑と夜光貝がよく例に挙げられるが、その薄さから背景が黒にした部分は青く見える。螺鈿細工として使用する場合は薄貝に炭を塗り色を出す。金同様に漆器のようにベースが透けないブラックだとその素材の色が存分に楽しめるというわけだ。

ここからは螺鈿でよく用いられるもうひとグループを見てみよう。
白蝶貝は南洋真珠、黒蝶貝は黒蝶真珠の母貝( 貝殻 )のこと、つまり真珠を生み出す貝のことを指す。どちらもウグイスガイ科アコヤガイ属の二枚貝で、アコヤガイと名がつくのに、当の阿古屋貝はウグイスガイ目ウグイスガイ科に分類される二枚貝という不思議。いずれにせよ、当然真珠を作るのだから自分の住処である貝殻の内側にもふんだんに真珠層が出来ている。

 白蝶貝

大きさが30cm以上にもなる大型種。
貝殻は大きく厚く、白い絹のような内面に現れる虹色の輝きは見る人を惹きつけて止まない。古くからヨーロッパやアメリカでは工芸品、高級な飾りボタンやナイフ・フォークの柄の材料として珍重されてきた。貝殻内面( 真珠光沢の面 )の周縁部が白いものを「 シルバーリップ 」、黄味がかっているものを「 ゴールドリップ 」と呼ぶ。シルバーリップからはまったく黄色味がないホワイト・シルバー系の真珠が、ゴールドリップからはイエロー・クリーム・ゴールド系の真珠が出来る。オーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどが主な生産地。

 黒蝶貝

黒蝶貝も大きさが20cm以上にもなる大型種。
色は緑色系を中心に赤、緑、黄色の色素が混合しており豊富なカラーバリエーションの真珠を生み出している。黒蝶貝から黒真珠も出来ますが、必ずしも 黒蝶貝=黒真珠 ではない( 黒蝶貝から銀白色の真珠も出来るため)。黒蝶貝の赤みがかった緑色は孔雀の羽根のように見る角度によって色調を変化させることから「 ピーコックグリーン 」と呼ばれる。
黒蝶貝は活発的に動く貝のため綺麗な真円の真珠もありますがバロック( 個性的な形 )やサークル( 真珠に鉢巻を巻いたような形 )と言ったものも多く出来る。主にタヒチで生産されている。

地域は違えど各地でその貝の美しさを身近に楽しめる様に装飾品という形に落とし込むための工夫と努力がされてきた。こうして国籍を拘らず愛でられてきているのが、人間の本能に訴えかける真珠層の根源的な美しさなんだろうなと納得させらました。


*上記の情報は以下のリンクからまとめています。


僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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