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漆4:漆の採集(漆掻き)

おはようございます。
今日は昨日よりは雲が薄くて陽が明るく感じられる。少し涼しい位で穏やかでさわやかな朝。

さて、今日は漆の原料をウルシから採取する漆掻きの方法を詳しく見ていこう。

漆掻き

漆掻きには、養生掻きと殺し掻きの2種類の方法がある。
養生掻きは木を殺さずに養生しながら漆を採る方法。昔はウルシの実もロウを採る原料にしていたため、木を枯らさないように何年にもかけて漆を取り続ける方法。 一年で採取出来る量は少ないけれど、長い目で見ると総量は多いとも言われる。
一方で、最後の一滴まで漆を掻き採り、最後に木を伐採する方法が、その名も殺し掻き。和ローソクの需要が少なくなったことで、養生掻きよりも漆の収穫量が多い「殺し掻き」が主流になっている。

萌芽更新(ほうがこうしん)、蘖(ひこばえ)

ウルシは、15~20年で漆液を採取し伐倒する。その切り株や根から萌芽する。萌芽更新すれば、苗木代や植付け費用がかからず、下刈りなどの保育管理費用だけで済む。また、根系が発達しているので、初期成長が速く、漆液を採るまでの期間を短縮できるメリットがある。
殺し掻き法は、この萌芽更新を前提にした漆掻き技術である。
ただ切り株から直接出たウルシは折れやすい。萌芽更新でウルシを育てる場合は、切株ではなく、地中の根から発生した萌芽を育成することが重要。

漆掻きに必要な道具

①ウルシカマ・・・一番外側の樹皮・荒皮を削って、幹の表面を滑らかにする。
②ウルシカンナ・・・先端が二又になっていて、溝を彫る。
③エグリ・・・裏目掻き作業から使う道具。
④カキヘラ・・・溝の中に分泌した液をかき集める。
⑤カキタル (タカッポ)・・・かき集めた漆を入れる容器。ホウノキあるいはシナノキの皮を剥いで円筒形に作る。底板にはスギかキリの板を使う。

目立て

目立てはウルシの採取を目的としたものではなく、2回目以降の基準を決めると同時に、ウルシの木に刺激を与えてウルシの分泌を盛んにするために行う。入梅の頃、根元から20cmほどの高さの幹に2cmくらいの横溝をつけ、この溝を基準に上へ約30~35cmごとに同じ溝をつけていき、反対側の幹にもこれと交互に溝をつけていく。
辺(掻き傷)から漆が湧いてくるが、一掻きから取れるのはほんの数滴。掻きたての漆は白く、甘い香りがします。


4日間のインターバル

ウルシの木は、木を傷つけられるとそれを治そうとして樹液を出すが、それが何回にもなると木が弱ってくる。木を弱らせないように、約4日間は休み、また傷をつける。

辺掻き

5日目ごとに前に付けた掻き採り傷の上に少し長めの傷をつけ、そこから滲み出た漆をヘラですくいとりカキタルに入れる。9月下旬頃まで行う。この時期に採取された漆を「辺漆」という。

裏目掻き

辺掻きが終わると、目立ての下と辺掻きの上に幹を半周する傷をつけ、また幹の上方や太めの枝にも傷をつける。こうして採取した漆は「裏目漆」と呼ばれ、辺漆に比べて品質がやや劣る。

止め掻き

「殺し掻き法」の名の由来となった作業で、裏目掻きの間にも木を一周するように傷をつけて採取し、樹液の流れを完全に遮断してしまう方法。

昔は冬も漆掻き

漆掻き職人が山に入れない冬は、ウルシの枝先を切って水の中に入れておき、メギリ包丁で傷をつけてわずかな漆を採取した。漆としては下等品だが、徹底して漆を採取した。

殺した木の利用

昔は、冬の副業として、殺してしまった木で漁業に用いる網の「浮き」やイカ釣りの疑似餌であるイカヅノを作った。ウルシの木は軽くやわらかい上水を吸収しない性質があるので浮きに適していて、ウルシの木で作ったイカヅノ(イカを捕まえる擬似)は、なぜかよく釣れたので珍重されたという。
以前にも書いた様に、被れる成分ウルシオールが含まれているため、薪にして燃やすのは危険。



*上記の情報は以下のリンクからまとめています。

実際に木の表面に横向きに傷を幾重にも重ねていき、そこから樹液が垂れてくる様は痛々しいが、自分では自然界では生き残れないウルシだけが自然に生み出せる不思議を感じずにはいられない。
明日は採取した漆に関して、調べていきたい。



僕は幸せになると決めた。
今日もきっといい日になる。
一歩一歩、着実に歩もう。


皆様も、良い一日を。

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