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見えない涙を流している

毎日、泣いている。涙は、とうに枯れた。見えない涙を流している。

私の涙は、スーパーでよく流れる。特にスーパーのお寿司コーナーなんかもうダメだ。胸が張り裂けそうとは、こういうことを言うんだと知った。

小さな頃から育ててくれた祖父は、料理のうまい人だった。作っては私にいろいろ食べさせてくれた。祖父の料理のなかで好きなのは、お寿司だった。

祖父のごはんの味の記憶がどんどん遠くなっていく。祖父のごはんの味は、もう味わえない。

そういうことが、たまらなくつらい。毎日ごはんを食べる度、また祖父のごはんの味が遠くなってしまったなと泣いている。

お腹が空かなくなってしまった。食べることが義務になってしまって、食べたいと思えなくなった。ベースブレッドのチョコ味を時間が来たらかじる、みたいな生活。

それだけなんて不健康だ、と言われたりもしたけど、正直食事しているだけで合格だと思う。

執筆のための資料代にさせていただきます。