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『光る君へ』第15話を観て・・・※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。
『令和源氏物語 宇治の恋華』第百二十七話は4月17日(水)に掲載させてただきます。


 

 驕れる者達

『光る君へ』第15話タイトルは「おごれる者たち」でした。
誰が驕っているのかというと、藤原道隆(井浦新さん)一家ですね。
妻の貴子(板谷由夏さん)は夫をひきたてよくできた妻という印象でしたが、調子に乗る夫を諌めることをしません。というか諌めることに思いつきもしない感じです。独裁が不興をかっている現状を把握して注進する者がまわりにいないということですね。
息子の藤原伊周(三浦正平さん)は自分では何も築いていないのに、鼻高々で高慢な若者です。美形なのにもったいない・・・。
最近じわじわと実資(ロバート秋山さん)にはまっているのですが、今週もボヤいておりましたね。
「公卿が離れてゆけば内裏が乱れる、世も乱れることになる」
あのコマコマした演技がユニークですが、正論です!
このギャップがいわゆる萌えなんでしょうか(笑)

さて、話を戻しますが、定子を強引に中宮に冊立し、皇太后栓子を後宮から追い出し、除目(官位の授与)では身内贔屓、しまいには定子の贅沢三昧を公費で賄うとは。
憤慨する柄本道長の抗議も馬耳東風の道隆です。
今週のラストで都に疫病が流行っておりましたが、平安時代では帝の行いが治世に反映されるといわれておりました。徳の高い帝の御世では平穏で実りも豊穣であるとされ、心根の浅い愚かな帝の御世では天地も荒れて人心も惑い、疫病などが蔓延すると恐れられたのです。
一条天皇は美貌の帝ではありますが、道隆の言いなり、自分で物を考えないので、ご政道を導くには頼りない感じです。その行いの結果が疫病であると周りからの誹りを受けることになるでしょう。(多分、予測ですが)
これまで横暴を極めた道隆の斜陽が慮られます。
源氏物語で源氏の兄である桐壺帝一の皇子が朱雀帝に即位し、母の弘徽殿女御とその父の右大臣は天下を謳歌しました。そして源氏排斥の機運が高まり、須磨・明石への都落ちとなるのです。
朧月夜の姫とのことや明石の上との宿縁ゆえに必要な都落ちではありましたが、ここでは割愛します。
源氏を追放したことで天変地異が起こり、疫病が流行しました。これは帝の施政が間違っていると民たちは動揺するのです。そして朱雀帝ご自身にも異変が起こります。来週へ向けてのお話はまさにこのオマージュでしょう。
『紫がたり 令和源氏物語』で私がそのお話を書いたのがこちら・・・

 ぶれない道長

未だ思ったような地位と働きができていない道長は、それでも腐らず真面目に努めておりますね。そんな道長と存外話が合う実資の掛け合いが面白い。
道長は大納言で八つ下の甥の伊周と同じ、中宮大夫となっておりますが、その中宮まわりの奢侈ぶりに辟易し、諌めるも玉砕です。
しかしながら、今回の見どころはやはり兄・道兼との場面でしょうか。
道兼の傷心と世を諦めた様子がすさまじい演技の玉置玲央さんでした。
父親の陰の部分をそのまま色濃く受け継ぎ、闇を深くしたかわいそうな人です。長男の道隆の栄華と自分を引き比べて自暴自棄になる兄を道長が励まし、どうやら長い間のしこりも霧消したモヨウ。
道兼は立ち直り、公卿にまで登りつめました。
道長も立派な大人になり、器の大きさも感じる場面でしたね。
そして兼家を呪詛した道長の妻・明子はずいぶん柔らかい表情になり、ふたたび子を宿しておりました。道長との絆を育んでいるのがうかがえますね。
道長は実に平等に倫子とも明子とも接しているように思われます。
道長がまだまひろを想う心の炎は消えていません。いずれ平等な社会を作りたいという願いの根源には直秀の死とまひろとの約束があるのですから、忘れることなど到底できないのです。それでいていつもは飄々としている道長の心を揺さぶるのは結局まひろだけ、ということですね。まひろと向き合う時だけ情熱を抑えきれないというのが胸キュン要素です。来週もどうやらそんな一途な道長が見られる予感です♡

 藤原道綱と母

まさかのビックリなさわとまひろの「石山詣で」。
子供の頃から「蜻蛉日記」を読んでいたというまひろにこれまたビックリです。「蜻蛉日記」と名したことは、以下の文言によって明らかにされております。蜻蛉日記は上中下巻の三巻で上巻の末尾に記されてあります。
「なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心地するかげろふの日記といふべし」
(身分も低く、妾という立場で頼りない、蜻蛉のように儚い身の上の私の日記であるよ)
道綱の母は兼家の死でどうやら出家したようですね。いささか華やかな藍の装束を身に着けておりましたが、白い袈裟を着けておりました。
女として、人生の先達として若い姫君たちに優しく接する姿に好感を抱きました。紫式部が物語を書こうという一条の光も与えてくれた場面でした。
しかし、道綱の夜這いでなんか薄れてしまった感じです。
あの兄弟(道綱と道長)は、まひろのような女性がどストライクなのがよくわかりました。
そういえば母の敵の道兼も、まひろのことを
「見目麗しいが愛想がない」
と評しておりましたね。

 今週の真宙くん

久々にしっかりと登場した高杉真宙君(まひろの弟の惟規)。
前回は庚申待の夜に姉のまひろを冷やかすお茶目な感じでしたが、今回はしっかりやってくれました。
難関の試験を突破してとうとう役職をえることができましたね。
頭脳明晰な姉を尊敬しつつ、愛嬌があって、「頑張り屋さん」という称号を加えてあげましょう。
やればできる子だったんですねぇ。
「お祝いなのに、琵琶って・・・」
私もそう思いましたよ!
今週も一服の清涼剤的な存在でした。

次回は不穏な空気ですね。
では、また来週☆

明日は、『光る君へ』いろいろ解説⑥石山詣で、を掲載させていただきます。


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