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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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#紫の上

紫がたり 若菜・上下 を通じての主要点

みなさん、こんばんは。 長かった若菜・上下がとうとう終わりました。 上下合わせて64話。 私…

YUKARI
1年前
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『蓮の臺(はちすのうてな)』

みなさん、こんばんは。 本日はタイトルにある『蓮の臺(はちすのうてな)』について考察した…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十七話 幻(十六)

 幻(十五) 毎年十二月の十九日から二十一日には御仏名(おぶつみょう)という宮中行事が…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十六話 幻(十五)

 幻(十五) 源氏の手元にはもう紫の上の手紙しか残っておりません。 しかしこれを焼く時は…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十五話 幻(十四)

 幻(十四) 十一月に入り、源氏は惟光を呼び寄せました。 惟光といえば源氏の乳兄弟であり…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十四話 幻(十三)

 幻(十三) 源氏の手紙供養も残りあと僅かとなりました。 どうしてもこれまで開くことので…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十三話 幻(十ニ)

 幻(十ニ) 紫の上の一周忌を無事に終えて、源氏はいよいよこの世との別れが近づいたと心を整えております。 そうとはいえ、この二条院はあまりにも上との思い出がありすぎるのが辛いところなのです。 五節である九月九日の重陽は菊の節句とも呼ばれておりますが、この日には長寿を祝う風習があります。 菊は奈良時代に薬用として我が国へ渡来しました。 中国には菊にまつわる長寿の伝説があるのです。 その昔、深山のとある村で長生きする人達が多い所があり、彼等が生活に用いていた川のほとりには菊

紫がたり 令和源氏物語 第四百四十ニ話 幻(十一)

 幻(十一) 紫の上の一周忌はもう目前。 この一年はこれまでの人生のうちでもっとも早く過…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十一話 幻(十)

 幻(十) 七月になると、蜩が例年にも増してやかましく鳴くのを、今年はどうやら例年よりも暑…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十話 幻(九)

 幻(九) 梅雨が明け、うって変わった日差しの強さに源氏は涼を求めて釣殿(水上に張り出…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百三十九話 幻(八)

 幻(八) 五月雨の頃になると、じめじめとしたこの国特有の風土に気が滅入るもの。 源氏は…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百三十八話 幻(七)

 幻(七) 初夏の頃になりました。 今年の衣替えの装束は花散里の姫君が用意したもので、そ…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百三十七話 幻(六)

 幻(六) 源氏はそのまま明石の上の冬の御殿にまわりました。 久しく音沙汰もなく、突然の…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百三十五話 幻(四)

 幻(四) 二月になると、明石の中宮は内裏へ戻られました。 しかしやはり父・源氏のことが気懸りであるので、三の宮(後の匂宮)を二条院に残されることにしたのです。 紫の上が養育した孫のなかでも特に可愛がり、明るく活発な三の宮がきっとこの二条院を明るく照らしてくれるであろう、という中宮の配慮によるものでした。 自責の念から勤行に明け暮れて、心を巌のように堅くしていた源氏もかわいい孫の姿を見ると、そのまなざしが緩むようであります。 「おばあさまが私にこの梅の守をせよとおっしゃた