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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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#源氏物語現代語訳

『光る君へ』第37話を観て・・・※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。 次回、『令和源氏物語 宇治の恋華 第二百四十話』は明日10月2日(水…

YUKARI
13日前
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『光る君へ』第19話を観て・・・ ※ネタバレあり

みなさん、こんにちは。 『令和源氏物語 宇治の恋華 第百五十一話』は5月17日(金)に掲載さ…

YUKARI
5か月前
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『紫がたり 令和源氏物語』 お好きな帖をお好きな時に・・・

みなさん、こんばんは。 NHK大河ドラマ『光る君へ』は徐々に視聴率を伸ばしているようですね。…

YUKARI
8か月前
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『胡蝶』の帖について

みなさん、こんにちは。 本日は「胡蝶」の帖について書きたいと思います。 この帖も前半部分は…

YUKARI
1年前
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次帖『蓬生』について

みなさん、こんにちは。 源氏物語にはとても印象に残る名場面が数々あると思います。 これまで…

YUKARI
2年前
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紫がたり 令和源氏物語 最終話

 幻(十八)   とうとう大晦日(おおつごもり)の日がやって来ました。 あの紫の上の手紙を…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十八話 幻(十七)

  幻(十七)   あと数日でこの年も暮れる、新年早々には仏門に帰依することになろう、そう思うとさすがに紫の上の手紙を遺してはおけないと源氏は意を決しました。 束ねていた綾紐を解くと、紫の上の懐かしい美しい手跡が現われました。 古歌にある「かひなしと思ひな消ちそ水茎の跡ぞ千年の形見ともなる」というように、まさに千年先も賛美されるほどの手跡ではありますが、仏道に専念する者が持つには相応しくはないのです。 やはりこの手で紫の上の元に送ってあげるのがよかろうと源氏はひとつひとつを手

紫がたり 令和源氏物語 第四百四十七話 幻(十六)

 幻(十五)   毎年十二月の十九日から二十一日には御仏名(おぶつみょう)という宮中行事が…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十六話 幻(十五)

 幻(十五)   源氏の手元にはもう紫の上の手紙しか残っておりません。 しかしこれを焼く時…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十五話 幻(十四)

 幻(十四)   十一月に入り、源氏は惟光を呼び寄せました。 惟光といえば源氏の乳兄弟であ…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十四話 幻(十三)

 幻(十三)   源氏の手紙供養も残りあと僅かとなりました。 どうしてもこれまで開くことの…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十三話 幻(十ニ)

 幻(十ニ)   紫の上の一周忌を無事に終えて、源氏はいよいよこの世との別れが近づいたと心…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十ニ話 幻(十一)

 幻(十一)   紫の上の一周忌はもう目前。 この一年はこれまでの人生のうちでもっとも早く…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十一話 幻(十)

 幻(十) 七月になると、蜩が例年にも増してやかましく鳴くのを、今年はどうやら例年よりも暑いようであるよ、と源氏はまた夏空を見上げる。 紫の上がまだこの世にいたらその過ごしづらさに苦しんでいたであろうと考えると、そのような辛い思いをさせずに良かったとも思われるのです。 何をするわけでもなく、ただただ一日が暮れてゆく。 夕暮れに前栽の撫子が照り映えて、それでも蜩は鳴くのを止めぬ。 つれづれにわが泣き暮らす夏の日を        かごとがましき蟲の聲かな (あの人を亡くし、つ