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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2023年10月の記事一覧

色で表す源氏物語の女君たち

みなさん、こんばんは。 次代、薫の物語 『令和源氏物語 宇治の恋華』へ多数コメントをいた…

YUKARI
10か月前
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『紫がたり 令和源氏物語』完結致しました

みなさん、こんばんは。 令和源氏物語「紫がたり 令和源氏物語」が無事に完結致しました。 最…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 残り9話です。。。

みなさん、こんばんは。 長くお付き合いいただきました令和源氏物語。 「幻」の次に「雲隠」で…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 最終話

 幻(十八) とうとう大晦日(おおつごもり)の日がやって来ました。 あの紫の上の手紙を焼…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十八話 幻(十七)

幻(十七) あと数日でこの年も暮れる、新年早々には仏門に帰依することになろう、そう思…

YUKARI
10か月前
18

紫がたり 令和源氏物語 第四百四十七話 幻(十六)

 幻(十五) 毎年十二月の十九日から二十一日には御仏名(おぶつみょう)という宮中行事が…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十六話 幻(十五)

 幻(十五) 源氏の手元にはもう紫の上の手紙しか残っておりません。 しかしこれを焼く時は紫の上との別れであるという思いが強いせいでしょうか。 源氏はこの書簡の束をなかなか開けずにいるのでした。 それよりはまず他にするべきことがあろうよ、と理由をつけて先延ばしにしたところでいつかはこの手紙を手放さねばならないのですが、今日ではない、と日々己を騙し続けているのです。 財産のあらかたは惟光のおかげでそれに相応しいよう分配し、紫の上へと思っていた分などは上の菩提寺にすべて寄進しま

紫がたり 令和源氏物語 第四百四十五話 幻(十四)

 幻(十四) 十一月に入り、源氏は惟光を呼び寄せました。 惟光といえば源氏の乳兄弟であり…

YUKARI
10か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十四話 幻(十三)

 幻(十三) 源氏の手紙供養も残りあと僅かとなりました。 どうしてもこれまで開くことので…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十三話 幻(十ニ)

 幻(十ニ) 紫の上の一周忌を無事に終えて、源氏はいよいよこの世との別れが近づいたと心…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十ニ話 幻(十一)

 幻(十一) 紫の上の一周忌はもう目前。 この一年はこれまでの人生のうちでもっとも早く過…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十一話 幻(十)

 幻(十) 七月になると、蜩が例年にも増してやかましく鳴くのを、今年はどうやら例年よりも暑…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百四十話 幻(九)

 幻(九) 梅雨が明け、うって変わった日差しの強さに源氏は涼を求めて釣殿(水上に張り出…

YUKARI
11か月前
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紫がたり 令和源氏物語 第四百三十九話 幻(八)

 幻(八) 五月雨の頃になると、じめじめとしたこの国特有の風土に気が滅入るもの。 源氏は変わらずに手紙の供養を続けておりましたが、このような気候ではどうにも清々しく送ってやれぬものだ、と無為に過ごしがちになっておりました。 そんな雨間に十日ほどの月が華やかに差し昇りました。 花橘の芳香が漂う静かな宵です。 昔このような宵に花散里の姫を訪ねたことがあった、と源氏が感じ入って懐かしんでいると、夕霧が二条院を訪れました。 「父上、いかがお過ごしですか?」 「まぁ、深山に籠るつも