マガジンのカバー画像

紫がたり 令和源氏物語

509
青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

初秋 【シロクマ文芸部】

「秋が好きでございます。わたくし如きが春秋の優劣を説くのはおこがましいことではありますが…

YUKARI
9か月前
32

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十六話 御法(四)

 御法(四) 夏になると紫の上の容体は益々芳しくなく、例年通りの暑さであるというのに度…

YUKARI
9か月前
22

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十五話 御法(三)

 御法(三) 待望の法要は終わりましたが、紫の上は精根尽きたように寝付いてしまいました…

YUKARI
9か月前
21

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十四話 御法(二)

 御法(二) 衆僧が「法華経をわが得しことは薪こり菜摘み水汲み仕えてぞ得し」と声高々に…

YUKARI
9か月前
23

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十三話 御法(一)

 御法(一) あの例の御息所によってもたらされた紫の上の病は元凶が消えたことで去ったよ…

YUKARI
9か月前
15

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十二話 夕霧(二十五)

 夕霧(二十五) 夕霧が迎えに来ても何ら状況が改善することなく、孫まで連れて行かれたの…

YUKARI
9か月前
17

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十一話 夕霧(二十四)

 夕霧(二十四) 大臣の邸に着いて雲居雁の御座所に通された夕霧はなんと叱りつけようかと息巻いていたものを当の妻が不在であったことに肩透かしを喰らいました。 それにしても、この部屋の様子はまるで雲居雁の御座所のような気配がありません。 嗅ぎなれない上質な薫りが部屋中に満ちて、上等な調度がずらりと、まるでどこぞの名のある姫の在処のようで夕霧には落ち着かない空間でした。 しかし妻と共に来た四人の姫と幼い若君が遊んでいるので雲居雁の御座所には間違いないようです。 「姫たちや、さぞ

紫がたり 令和源氏物語 第四百二十話 夕霧(二十三)

 夕霧(二十三) 夕霧が一条邸に押しかけて婿らしく振る舞っているという噂はすぐに雲居雁…

YUKARI
9か月前
21

紫がたり 令和源氏物語 第四百十九話 夕霧(二十二)

 夕霧(二十二) 宮はとうとう大将がここまで来られてしまったと動揺されました。 いつまで…

YUKARI
9か月前
15

紫がたり 令和源氏物語 第四百十八話 夕霧(二十一)

 夕霧(二十一) 一条邸では宮が変わらずに塗籠に籠っておられるのを女房たちは子供っぽい…

YUKARI
9か月前
18

紫がたり 令和源氏物語 第四百十七話 夕霧(二十)

 夕霧(二十) 花散里の君は夜更けて夕霧が来たのを知り、やはり気になっていたこともある…

YUKARI
9か月前
20

紫がたり 令和源氏物語 第四百十六話 夕霧(十九)

 夕霧(十九) 定められた通りに小野の山荘は片付けられ、宮が残りたいと願ってもすでに手…

YUKARI
9か月前
20

紫がたり 令和源氏物語 第四百十五話 夕霧(十八)

 夕霧(十八) 夕霧は覚悟を持って今さら後には引けぬと一条御息所の御法要をすべて先頭に…

YUKARI
9か月前
20

紫がたり 令和源氏物語 第四百十四話 夕霧(十七)

 夕霧(十七) 源氏はあのように思い詰めた夕霧を見て、堅い者ほどこれと決めたらば譲らぬであろう、せめて騒動にならなければよいのだが、と心配しております。 そうして思案顔で御座所に戻って来た源氏の顔色を紫の上が読もうとするので、ついつい心情を漏らしてしまいました。 「今夕霧がやって来てね。あなたも例の噂を聞いているだろう。本当のところはどうなのかと気に懸かっていたのだが、夕霧は思ったよりも真剣に宮さまを慕っているようで、親らしいことのひとつも言えなかったよ」 「まぁ、そうで