紫がたり 令和源氏物語 第四百二十一話 夕霧(二十四)
夕霧(二十四)
大臣の邸に着いて雲居雁の御座所に通された夕霧はなんと叱りつけようかと息巻いていたものを当の妻が不在であったことに肩透かしを喰らいました。
それにしても、この部屋の様子はまるで雲居雁の御座所のような気配がありません。
嗅ぎなれない上質な薫りが部屋中に満ちて、上等な調度がずらりと、まるでどこぞの名のある姫の在処のようで夕霧には落ち着かない空間でした。
しかし妻と共に来た四人の姫と幼い若君が遊んでいるので雲居雁の御座所には間違いないようです。
「姫たちや、さぞ