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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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2023年6月の記事一覧

紫式部 源氏物語・冒頭の掴みの妙

みなさん、こんにちは。 私は常日頃より読みやすいよう現代語意訳源氏物語を志しておりますの…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十五話 若菜・下(十一)

 若菜・下(十一) 源氏は朱雀院が翌年には五十の御賀を迎えることになるので、その祝いを…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十四話 若菜・下(十)

 若菜・下(十) 子を思う心というものはどれほどその親の目を塞ぐことになるのでしょう。 …

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十三話 若菜・下(九)

 若菜・下(九) 住吉のお社は垣に這う葛も色づき、辺り一面が秋色に彩られておりました。 …

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十二話 若菜・下(八)

 若菜・下(八) 源氏の思惑による住吉大社への願解きの旅は十月二十日と決められました。 …

YUKARI
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十一話 若菜・下(七)

 若菜・下(七) 紫の上の申し出は源氏を打ちのめしました。 拗ねているようでもなく、自暴…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百四十話 若菜・下(六)

 若菜・下(六) 年を重ねると一年が徐々に短く感じられるもので、それは現代の我々であろうと千年昔の平安貴族であろうと変わらぬ感覚でございましょう。 六条の院として世間に敬われ、何不自由なく贅沢な暮らしを営む源氏も日々を過ごしているうちにあっという間に歳月は流れ、御年四十六歳になられました。 冷泉帝は三十二歳。 未だ若くていらっしゃいますが、ここのところ体調が思わしくありません。 冷泉帝はそろそろこの国を次代へ譲る時がきたようだと思召されました。 みなさんは冷泉帝が即位して

紫がたり 令和源氏物語 第三百三十九話 若菜・下(五)

 若菜・下(五) 今回の縁組が失敗であったというのは真木柱の姫君が結婚して数週間後に流…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十八話 若菜・下(四)

 若菜・下(四) 真木柱の姫君はたいそう美しく成長しておりました。 そして父は次代の重鎮…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十七話 若菜・下(三)

 若菜・下(三) 源氏の一門は泰平で順風満帆、夕霧もその若さで大将にまで上り詰めており…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十六話 若菜・下(二)

 若菜・下(二) 柏木は女三の宮のことばかりを考えてぼうっとすることが多くなりました。 …

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十五話 若菜・下(一)

 若菜・下(一) 柏木が女三の宮に文をしたためても返事が返ってくることはなく、小侍従が…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十四話 若菜・上(二十八)

 若菜・上(二十八) 「陽も暮れてきたのでそろそろこちらへおあがりなさい」 源氏は若者た…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百三十三話 若菜・上(二十七)

 若菜・上(二十七) それは三月の頃、空はうららかに晴れて土の香が高く温かい日和でした。 すっかり春めいたのどけさに源氏が端近で庭を眺めていると、弟である兵部卿宮が六条院を訪れました。 「兄上、ご機嫌はいかがですか?」 「これは嬉しい訪れだ。身分が重くなるというのはこうも退屈なものかと嫌気がさしていたところだよ」 兵部卿宮とは仲が良いので、こうして気兼ねなく訪問してくれるのが嬉しい源氏の君です。 「陽気がよいのでしんみり楽というのもなにだね。そういえば夕霧や若い連中が来て