紫がたり 令和源氏物語 第三百四十話 若菜・下(六)
若菜・下(六)
年を重ねると一年が徐々に短く感じられるもので、それは現代の我々であろうと千年昔の平安貴族であろうと変わらぬ感覚でございましょう。
六条の院として世間に敬われ、何不自由なく贅沢な暮らしを営む源氏も日々を過ごしているうちにあっという間に歳月は流れ、御年四十六歳になられました。
冷泉帝は三十二歳。
未だ若くていらっしゃいますが、ここのところ体調が思わしくありません。
冷泉帝はそろそろこの国を次代へ譲る時がきたようだと思召されました。
みなさんは冷泉帝が即位して