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全国オーガニック給食へ向けた解決のヒント

こんにちは。コラボレーターのいたやゆかりです。
本日、全国オーガニック給食フォーラムに参加しました。

オーガニック給食の取り組みをお伺いした際に、「凄い!是非、全国各地の小学校・中学校で導入して欲しい!」と反射神経的に感じると共に、課題に関してどのように解決してゆくのか気になっていました。

今回のフォーラムではオーガニック給食の課題と解決のヒントについて明確に提示されていた事が印象に残りました。課題解決に焦点を絞りつつ、フォーラムの概要をお伝えします。

オーガニック給食の課題①安定供給に関して

「有機農産物は足りないのでは?誰がどうやって供給するの?」という課題です。全国の水田の2%を有機にすれば、全国の小中学校、100%有機米給食が可能とのことです。この計算式に関しては、全国オーガニック給食フォーラム資料集に記載されています。

2021年5月、農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を策定。具体的取り組みとして、「持続可能な地場産物や国産有機農作物等を学校給食に導入する取組の推進」が記載されたそうです。2022年度予算では、オーガニック給食も支援可能になっています。

フォーラムでは、農林水産省農産局農業環境対策課長の佐藤夏人さんから「みどり戦略と予算でオーガニック給食等の取組を応援」というテーマで、
有機農業を大きく推進する方針について実際に説明してくださいました。

令和3年度補正予算からみどりの食料システム戦略推進交付金において支援を開始し、2025年までに100市町村で「オーガニックビレッジ」を創出するという事もお伝え頂きました。

農林水産省 の「みどりの食料システム戦略」については、JPIさんのセミナーのアーカイブで詳細について学ぶこともできます。

地域の生産者の方と給食センター、学校を繋ぐコーディネーターの配置や関係者による協議会の開催に関しては、文部科学省の「学校給食地場産業使用促進事業」としてオーガニック給食を支援出来る予算を要求する事が出来るとのことです。

フォーラムでは、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課係長の青山恵津子さんから実際の支援の内容についてのお話がありました。

オーガニック給食の課題②調理現場負担

「有機野菜は、選果場などを通さずに農家から直接調理場に運ばれる事が多いため、泥付きのものが多くあります。泥付き野菜などで栄養士さん、調理員さんの負担は増えてしまわないか?」ということです。

武蔵野市では、調理場の前室に洗い場を設けることによって、泥付き野菜を調理場に持ち込まず、綺麗にした野菜のみを調理場に入れる事ができているとのことです。調理員さんと栄養士が、有機栽培や農家さんの事を理解する事でかかる手間に理解を得られる事もあるとのことです。

サイズが揃っていない野菜に関して

調理上では、限られた調理時間内に調理を行う必要があり、野菜などを機械で洗い、カットするところがあります。サイズが揃っていないと、機械に入らない事があるとのこと。

いすみ市では、栄養士さんと農家さんが話し合いを行い、農家さんが野菜を出しやすいように、調理場に過度の負担がかからない範囲で、給食野菜の出荷規格がやや広めに定められています。農家さんはなるべく箱ごとに野菜のサイズを揃えて出荷する事で調理場の負担を抑えるように工夫しています。

食材の調達については、市の農林課に「地産地消コーディネーター」を置き、生産者さんと栄養士さんの調整役を担っているそうです。

今治市では、栄養士さんと生産者さんと営農指導員の集まる出荷調整会議が行われ、議論を積み重ね、生産者の方が調理場を見学したり、栄養士さんが有機農作物の畑を見学したりして、両者が互いの理解を深めていったそうです。

その後、生産者の方自身が自主的な出荷規格を定め、農産物の大きさを揃え、水洗いして出荷するようになったそうです。

オーガニック給食の課題③予算

「給食費は値上がりしないの?保護者が負担する給食費を値上げする事なく、オーガニック給食を導入するためにはどうしたらよいでしょうか?」という課題に関してです。

いすみ市では、それまで慣行栽培米260円/kg(※毎年変動のため、左記は5年平均額)を給食に使用していましたが、市内で栽培された有機米430円/kgを使用するためには、その分、購入費が必要になります。

その差額にあたる購入費は、保護者が負担する給食費を値上げするのではなく、いすみ市が、子どもの健全育成と、産業振興のためとして、一般会計から補填しています。(市の予算年間約500万円)

全国1,740自治体のうち、小学校・中学校とも学校給食費の無償化をしている自治体が全国に76自治体(4.4%)あります。

子育て支援などを目的で行っている自治体があり、保護者の経済的負担軽減、給食費未納・滞納に対する子どもの心理的負担の解消や、学校側の対応負担の解消といった効果が見られた例もあるようです。

韓国では、憲法に「義務教育は無償」と書いてあり、給食も教育の一環という考え方から給食も全て無償とのこと。高校まで親環境無償給食を進めているそうです。その詳細について、カン・ネヨンさんが「韓国では親環境無償給食が全国で」と題して紹介してくださいました。

東京大学大学院農学生命科学研究科教授の鈴木宣弘さんのお話の中で、小中学校給食の無償化は5,000億円弱で出来るという話も出ていました。

オーガニック給食を提供している学校では、例えばデザートの回数を減らしたり、手作りのものを増やしたり、フランスの例では、定期的にベジタリアン給食にしてタンパク質の多様性を図るなど、献立を工夫する事で、給食費を値上げしない対応が取られています。


オーガニック給食での変化

子どもたちに下記の良い変化が起きたそうです
・元気になり集中して授業が受けられるようになった
・発達障害の子どもが穏やかになった
・アトピーが改善したり、インフルエンザの欠席が減った
・年間の欠席日数が10分の1になった
・36.5度以上の子どもの割合が増えた
・給食の完食率が上がり、残菜が減った
・良い食べ物を選ぶ力が備わった

有機米100%給食実施、8品の有機野菜も一部から実現している千葉県いすみ市では、自治体に下記の6つの良い変化が起きたそうです。
(1)この町に住みたいという方や、この町で子育てしたいという移住者が増えた
(2)市民が喜んで、市政への信頼が厚くなった
(3)有機農業面積が増え、生きものも増え、自然環境が良くなった
(4)有機農業に移行する方が出てきた
(5)有機農業を始める新規就農者が増えた
(6)給食の有機米が「いすみっこ」というブランド米になった

本日の全国オーガニック給食フォーラムはリアル&オンラインで4,000人の方が参加しており、関心の高さをひしひしと感じました。オーガニック給食にする事の意義や波及効果の大きさを実感しました。

全国各地で地域の特産品開発に携わっていますし、農業関係のプロジェクトにも様々な形で関わらせていただいています。

OzoneDAOで「食べ物センター長」をしています。
全国の有機農業を担っている方をはじめ様々な方々とSDGsを現実にするソーシャルフェスの形など様々な側面で関係構築を図っていきます。
それでは、味わい深く素敵な日々をお過ごしくださいね。









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