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翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その5

日本で通訳もするのかな?という一抹の不安が...   ー 実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。

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(5)早口

【更新版】

2016年6月は、臓器収奪を止めようとする者にとって画期的な時期となった。

6月13日、米国下院議会で、臓器収奪の即刻停止を中華人民共和国と中国共産党に要求する決議案(343号)が満場一致で可決した。

そして6月22日、米ワシントンDCのナショナル・プレスクラブで、〈更新版〉(An Update)と題する600ページ以上の報告書が発表された。

更新版とは、『中国臓器狩り』(Bloody Harvest)[2006年にカナダの元国務省アジア太平洋担当大臣デービッド・キルガー氏と人権弁護士デービッド・マタス氏がオンラインで発表し、2009年に書籍版発刊]と本書『臓器収奪ー消える人々』(The Slaughter)[2014年に発刊]の2冊の内容をもとにして、さらに2016年の状況を報告するという意味だ。キルガー、マタス、ガットマンの三人による共著である。

2006年に、アニーと名乗る女性の証言(前夫が法輪功学習者から角膜をとっていた)を受けて同年、マタス、キルガーによる最初の調査報告が発表された。2016年は、ちょうど10年めにあたった。今回は、中国発表の移植件数を鵜呑みにすることなく、病院の施設状況、求人情報、国家政策など中国国内の情報資料を分析して中国の移植手術の実態を調べ上げた。その結果、中国が当時公式に発表していた1万件という数字をはるかに上回る6万から10万件という数字が算出された。この推定値は腎臓と肝臓の移植病院のみが対象とされているので、実際はさらに多いと思われる。

上記「メディカル・ジェノサイド」が、この2016年の〈更新版〉の内容を最も的確にまとめている(21分)。(中国臓器収奪リサーチセンター制作)

【英国議会へ】

さて、この決定的な調査報告を世界に広めようと、三人の調査者たちが各国の議会を回り始めた。7月初旬、マタス弁護士がカナダから来英。ロンドン在住のガットマン、トフティ氏と合流し、英国議会の一室で〈更新版〉の報告会が開かれた。

「日本でも...」という思いから私も参席させてもらった。マタス弁護士とガットマンの報告を聴き、トフティ氏は証言者。被害者として法輪功の学習者も証言していた。

世界を回って、一律に尋ねられる質問があるという。「私の国からは何人中国に行っているんですか?」これは各国で調べるべきという回答だった。

中国がやっていることは止められないが、少なくとも自分の手が血に染まらないようにして欲しい、というメッセージを伝えていた。

この世界に飛び込んでまだ半年。一生懸命、耳をそば立てたが、マタス弁護士もガットマンも早口だった。特に質疑応答などで「これだけは言わせてくれ」といった熱のこもった語調になると、本当に早い。日本に彼らが来た時、誰が通訳するのだろう? 翻訳者の私は指は動くが、書き直しの効かない通訳の世界は不慣れだ。一抹の不安がよぎった。

この後、マタス弁護士、ガットマン、トフティ氏の三人をブライトンに連れて行った。同日の夜、『知られざる事実』の上映会が予定されていたからだ。翌日はマタス弁護士が参加する学術会議に鞄持ちとして同行。初めてのアテンド生活の体験だった。(その6へ...)

2017?英国議会

2016年の報告会の写真ではないが、英国議会内の一室の雰囲気が出ているので、この写真を掲載させていただくことにした。ガットマン(左から2番目)が熱弁する様子が伝わるかと思う。

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ワニブックスのニュースクランチで、本書 第一章の冒頭部分を紹介してくださいました。こんな感じで始まります。覗いてみてください。

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