マガジンのカバー画像

思い出日記

24
運営しているクリエイター

#cakesコンテスト2020

もしあの時あの場所を選んだなら、どんな私になっていたのだろう

もしあの時あの場所を選んだなら、どんな私になっていたのだろう

視界を埋め尽すビルが、イルミネーションのように輝く街。グレーのダウンコートのファスナーを胸元まで上げた19歳の私は、窓に無数に宿るオレンジの光をぼんやりと見つめながら、ゆっくりと歩いていた。

歩道の両脇に並ぶ街灯やコンビニの灯りに、煌々と照らされ白んだ空。それを背景にそびえる1棟のビルが目に留まった。

18歳の冬。私は母と不動産屋さんと一緒に、そのビルの一室にいた。ベッドを置いたら、半分が埋め

もっとみる