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私の育休体験記②~初めての仕事復帰。温かさとモヤモヤに包まれて~

育休を3回取得した私の、育休体験記。今回は、第1子の育休から復帰し、第2子の産休に入るまでの2年間のうちの1年目のエピソード。「印象に残っていること」・「今に繋がっていること」を綴ります。(今から約6年前。2015年~2016年の話です。)


見ててもらえる安心感

初めての育休復帰前。子育てと仕事の両立はできるのか。全くイメージのつかない中で、ソワソワしていた時期に、所属していた部署の、上司から連絡があった。
「部長が直接話をしたいとのことだから、会社に来てほしい。」
という連絡だった。

育休から復帰する人全員が受ける人事面談とは別に、部長自らの意思でセットされた面談。
当時の私は、そんなものなのかという気持ちでいたが、これが、当時の会社では特殊なことだったと知ったのは、大分先になってからだった。
久しぶりに会社に行けるのが嬉しくて、また、子どもを連れていけるのも嬉しくて、少し緊張しながらも、抱っこ紐に抱えた長男と、会社に足を踏み入れたのを覚えている。

人事権を持たない部長ではあったが、自身の子育て経験なども踏まえてか、私の復帰後の仕事やキャリアについての部長なりの考えを、前もって伝えてくれた。
それまで私は、個人営業、そして、営業所のマネジメントを行っていたのだが、お客様相手でスケジュールが変動しがちなその仕事を、時短で行うのは辛いなぁとも思っていた。
でも、その仕事以外にも、今後、会社の中で成長していくためのステップとして、学びながら取り組むことができる仕事が同じ部署の中にある。その仕事の方が時間の融通を付けやすい。そういう道筋もあるよ、という話をしてくれた。


そして、私は復帰し、その仕事に就いた。
新しい仕事ではあったが、先輩と後輩との3人チーム。先輩は、「時間になったら残っている仕事は全部残して帰っていい!」という器の大きな人だった。(残して帰ることには、かなりの罪悪感があったけれども。)一年違いの後輩も、とても頼りになる存在。私と同じで入社以来ずっと同じ部署。子どもも同級生で、分かり合えることが多かった。
加えて、私にとってはお姉さんのような、とても心強いサポートメンバーが複数いて、その中には、先輩ママもいて。
斜めには、何でも話を聴いてくれる年の近い先輩もいて。
新しい仕事に慣れるのにも、慣れないマーケティング資料や提案資料を作るのにも、日々試行錯誤で、悔しい想いも沢山したけれど、子どものお迎え時に道草を楽しむこともできたし、休日に、家族で公園などに出かけた写真も、沢山残っている。
思えば、恵まれている環境で復帰一年目を過ごしたんだなと思う。

その中で、ずっとモヤモヤしていたのは、自分のキャリアについてだった。
入社してから7年間同じ部署。同じ部署の中でも、プロジェクトの経験数はそれなりに重ねていて、責任ある立場を含め、様々な経験をさせてもらったし、それなりに楽しかった。今考えると、その7年間、のびのびした環境で、他の部署では味わうことのできないたくさんの刺激の中で、働かせてもらったのだけれど。当時は、そんなことを改めて振り返り、感謝する心の幅もなかった。入社前にもともとやりたいと思っていた仕事ができていないことや、同期や後輩が、様々な部署で経験を積んでいくことに、焦りを感じていた。私は忘れられているのではないか。時短で復帰して、これから私は自分がやりたいと思っている仕事に就くことができるのだろうか。「時短の女性」というレッテルを貼られて、「時短でも働ける」と思われている部署に異動させられるのではないか。
まだまだ男性の方が圧倒的に多い職場で、ロールモデル不在の中、そんなことを悶々と思う日々だった。


確か、復帰して、半年くらい経った頃だったと思う。
部長が「話を聴きたい」と直々に面談をセットしてくれた。
折角の機会だから、こんなことを話そう、と事前に少しだけ、自分なりに纏めていた。部長との一対一はやっぱり緊張する。高層ビルを望む、個室ブースに入って話をしたのを覚えている。
部長にとって、私は、子育てしながら働く女性総合職の部下一号だった…と思う。

私は、ここぞとばかりに、時短で働く中で感じていたモヤモヤを話した。
時間に限りがある中で、日々の業務、考える時間、学ぶ時間のバランスを取るのが難しいという話をしたことを覚えている。
(まさに、今も、私は同じ課題と向き合いながら生きているなと、書いてみて気づく。)

その時も、部長は、部長なりの考えを話してくれた。
私たちの仕事は、日々刻々と状況が変わる仕事。ブランクがあって追い付くのは難しい仕事だよねと。

今の私なりに言い換えているが、
「考え続けること、普遍的なスキルを身に着けること、そして、信頼できる人とのつながりを作っていくことがとても大事だ。」
という主旨の話をしてくれた。

「仕事の完成形って、あるんだろうか。」
「我々は、学び続けなければならない。」

そんなことを問い、体現している部長だった。
そして、
「子育てしている女性がプレーヤーとして活躍できる部署にしたいんだ」
という想いを聴かせてくれた。


復帰して一年弱が経った辞令の日。
私にとって初めての異動が決まった。
入社前からやりたいと思っていた仕事に就ける。
一方で、入社以来在籍した、居心地の良かった職場を離れる。新しい仕事、環境に期待もありながら、ロールモデル不在の中、自分はやれるのだろうか。不安の入り混じる春を迎えた。

・・・・

その半年後、部長は、私と、同じ時期に異動した後輩の男性2人を食事に誘ってくれた。新しい部署で、たくさんの課題を抱えた私にとって、とてもリラックスできる時間だった。

「みなさんの活躍する姿を見てますので、しっかり頑張ってください。」

翌日、部長と後輩宛てに送った御礼メールへの返信には、そう書かれていた。

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