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『あおのたつき』吉原遊女と幽冥界

【マンガ感想文】今イチ押しの漫画『あおのたつき』について語ります。

あおのたつき/安達智(あだちさと)

『あおのたつき』このタイトル名は「あおという女性の生計(たつき)」という意味です。

主人公は「あお」という童女。わけあって冥途の吉原・薄神白狐社に迷い込んでしまった高級遊女(花魁)「濃紫」が子供の姿になっているキャラクターです。

あおは中身が花魁なので、姿が子供でもしゃべりや度胸が完全に大人です。神社の宮司「楽丸(らくまる)」と、かわいらしい狐ですが本当は神である「薄神(うすいのかみ)」と一緒に、迷える魂を救済していく物語です。

連載当初はTwitter広告で、あおが妹を助けるために「おらを女衒に売ってくれ」と訴えるシーンが使われていたので「よくある吉原遊郭モノか…」と思っていたのですが、読んでみたら妖怪退治のようなヒューマンドラマのような、独特の雰囲気とストーリーを持つ物語でした。

日本画/妖怪絵巻のような化け物と緻密な書き込み

吉原の遊女たちにまつわる悲哀や、あおの過去が少しずつ明かされていくストーリーテリングの上手さももちろんですが、必見するべきはその絵。きれいで読みやすく、時に大胆に描かれる筆運びにワクワクします。

特に読み流してしまいがちですが、いくつか出てくる神社の描写(設定)が素晴らしい!一瞬で読み飛ばされてしまいそうな背景にきっちりと設定が活きていて、それぞれの社の個性というか空気感が伝わってきます。

また、救うべき魂たちは妖怪変化のような姿であお達の前に現れることが多いのですが、その描写も面白いんです。

ろくろ首、絡新婦(女郎蜘蛛)、がしゃどくろ…

日本画の妖怪画に出てくるような化け物が登場しても、違和感のない世界観ですごい!

キャラクター達の小物(衣装や持ち物)もこだわりが感じられますし、なにげない冥途の街の風景にTwitterで人気の「丁寧な暮らしをする餓鬼」が紛れ込んでたりと遊び心もあります。

ファン歓喜!紙媒体(本)での出版決定

この絵とストーリー性のクオリティを保ったまま連載するのは相当すごいことだと思います。ぜひ紙媒体(本)を手元に残したいと思って連載アプリに応援コメントを付け続けてきましたが、ずっと電子版での販売のみだったのですが…

なんと2021年11月20日(土)に、念願の紙単行本化決定(1巻)しました!これはもう買うしかない!1巻の売り上げで2巻、3巻と続くでしょうからファンとしては絶対にもう予約してでも買う価値あります。

作者様のツイートはこちら↓

いや本当にめでたいです。ずっと待ってた甲斐がありました。いいねボタンを押して!応援コメントを付けて!アプリのアンケートもガチで回答して!やってきた甲斐がありました!絶対に買います。

いろいろな漫画アプリで無料試し読みができるので、気になった方はぜひ読んでみてください。今私のイチ押しのおすすめ漫画、『あおのたつき』のご紹介でした。

※2021年12月追記↓

紙媒体で買いました!

帯の応援コメントは「モノノ怪」の蜷川ヤエコ先生でした!ほんとに手元に置けるの幸せな漫画です、これからも応援しております!

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