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27歳だった年

仕事相手から「お嬢さん」と言われた。
正確には、雑談内での「あなたのようなお嬢さん(第三者)が〜」という文脈であり、しずかに衝撃を受ける。お相手や話の内容によっては怒り心頭案件だが、特に不快感をおぼえる要素はなく、ただただ「……自分、まだお嬢さんいけますか?」という狼狽えだけが残った。

28歳になった。
本音の建前として、「金銭的にも精神的にも自立した女性でありたい、きちんと仕事もできる人でありたい」と常々思っているし主張もしている。でも、本音の本音はずっと「お嬢さん」やりたい。子どもの頃から父はしばしばわたしを「お嬢」と呼ぶのだが、その調子のまま甘やかされながら奔放に生きたい。本音の本音は。
と思いつつ、社会人になって5年余りが経った。なんとなく働いて3年、まじがんばろと意気込んで今の職(出版営業)に就いてからはもうすぐ2年。今でも時折、いやしばしば「お嬢さんやりたい」欲は顔を出すので、なだめすかすのに苦労しているが、それでもなんとかやっている。

27歳は、公私ともに大きな出来事が多かった。

9月、契約社員から晴れて正社員に。新卒で入社したベンチャー企業以来の雇用形態である。大きな変化は金銭面での安心感を得たこと、そして出張地区を持ったこと。ありとあらゆる交通手段を駆使して各地の書店へ足を運んだ。来期からさらに担当地区が増える予定で、それに伴いほぼ毎月1週間近くの出張が必要となるので戦々恐々としている。
家が何より大好きで、心身ともに体力がないのにはたしてやっていけるのか?この仕事で生じるしんどいことは「自分が我慢できる類のしんどいこと」なのか?もっとも幸せに働けるのは今の職なのか?などなど、このごろぼんやりと抱いているもやつき、これからのキャリアについてちゃんと考えることは、28歳の目標にしたいと思います。

3月には人生初の入院を経験、そして4月、5年間つきあっていた恋人と結婚。入院・手術が必要と判明した1月下旬から両家顔合わせを行った4月下旬までは、人生でもっとも感情の変化がめまぐるしい期間であったように思う。初めてのことが立て続けに起こり、泣いたり笑ったり気を張ったり弛緩したり、なんだか忙しい日々だった。
ひとまず全部終わってほっとしたものの、結婚式をやりたいなとは思っていて、そろそろ準備にとりかかるべきなのに何もやっていないことが今の気がかりです。着たいドレスの形や流したいプレイリストなど、絶対まだ決めなくてもよい瑣末で楽しいことはいそいそとやるくせに、めどをつけている会場への連絡はお互い一向に取ろうとしていません。これも28歳でやりたい、というかやらねば、な最大のイベントです。



自分の誕生日を忘れる、あるいは特別なことはせず飄々と過ごす人のことを心底「大人」と思っている節があるので、数日前から「今年は何書こう」とそわそわしていた時点で、まだまだ子どもだなあと感じている。  

最近は自分の感情に疑いを抱きがちで、「『28歳やばー!』って言うけどほんまに思ってる?」など、無意識に浮かんだことに自問をくり返す癖がある。「自分に誠実であること」はずっと変わらず持ちつづけたい軸なので、今年も移ろう感情の精査と記録を怠らず、向き合っていきたいと思います。真面目か?という感じですが、ちゃらんぽらんに生きているようでいて、やっぱりわたしは根が真面目なんだなと最近あらためて気づいた次第です。きっとこの先も変わらないのでしょう。

サムネイルは夫が準備してくれたケーキ。暴力的なまでに桃!おぼれるほどの生クリーム!あまりのおいしさに、人生ベストケーキとして記憶に刻みました。
夫婦として初めて迎える誕生日やね、と言ってくれてやや感慨深かった。なるべく生涯祝ってほしいです。

こちらはさっき読み終えた本。

不思議というには地味な話 / 近藤聡乃

『A子さんの恋人』『ニューヨークで考え中』と次々ハマってエッセイも手に取ったのですが、たまげるくらいおもしろかった。この人にはこんなふうに世界が見えているのか、と思うと羨ましいとかを飛び越えて、ただただ感服するしかなかった。
平易な言葉でなんでもないことのように、はっとするほどおもしろいことを書く人が本当に好き。自分も文章を書きたくなるタイプのエッセイだった。なので、この文章も多分に影響を受けている気がします。



誕生日に記事を更新するのも今年で4回目となった。去年「27歳でやりたいこと」と挙げていたのは下記。

・仕事がんばる→まあがんばっていると思いたい
・近隣のカフェをもっと開拓する→していない
・本をたくさん読む→まあ読んでいると思いたい
・おまもりになるようなピンキーリングがほしい→すぐ買った
・マルニのお財布ほしい→スリーコインズで適当に買った500円の財布をずっと使っている
・イヴ・サンローランのファンデほしい→すぐ買った
・NARSのリフ粉ほしい→すぐ買った
・コスメデコルテの美容液…→すぐ買った

物欲に忠実で何よりである。
ここには書いていなかったけれど、結婚が圧倒的1位の目標であったので、実現できて大変うれしい。自分ひとりではどうにもならないことだったので尚更。


去年までの記事はこちら↓

今年は日記だけでなく、ひとつのテーマに絞ったエッセイの更新頻度も上げたいなと思っている。まだ思いつきレベルですが。

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